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2022.05.01

時計

マリアナ海溝の底まで行ける「シーマスター」。6000m防水の時計に見る“オメガの本気”

 

ハイスペックダイバーズに欠かせないヘリウムエスケープバルブを必要とせず飽和潜水を可能にした新設計モデル。写真のグレード5チタンのケースを纏ったNATOストラップ付きモデルのほか、独自開発のO-MEGA スティールのケースのモデルも同時にリリースする。45.5mm径、自動巻き。157万3000円/オメガ 03-5952-4400


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オメガによる2022年新作の目玉は、6000m防水ダイバーズだ。ここにブランドの本気を見る。

話は、2019年に遡ろう。海洋冒険家のヴィクター・ヴェスコヴォが1人乗り潜水艇で、マリアナ海溝の最深部に到達する偉業を成し遂げた。その深さ1万935m。

世界記録を塗り替えたこの潜水艇のアームに備えられたのが、オメガが誇る腕時計「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」なのだ。

ただし、これはいわば実験用のプロトタイプ。はたしてこの系譜を継いだ量産モデルがリリースされるか否か臆測を呼んだが、3年後となる今年、同じ名前を冠した「民生品」がリリースされたのだ。

蓋を開ければ6000m防水という量産品にして驚愕のスペックを実現。しかも、厳格で実用的なISO6425の基準を満たしているのだ。

さらに、内蔵するのは、オメガ自慢のマスタークロノメーター認定を取得したキャリバー。つまり、精度や耐磁性に優れており、非常に実用的というわけだ。

’21年には、この民生品である本機がマリアナ海溝の水深6269m地点で実地試験済みというのだから、さらにすごい。

もちろん我々がこうした深海に潜ることはほとんど、いやまったくない。が、このスペックに快哉を叫びたい。

我々が月に行くことは(ほぼ)ない(その可能性はだいぶ近づいている)が、その実力を持つムーンウォッチを愛でるように。

6000m防水が、単なる数字遊びなどではなく、オメガの技術の粋を、我々の大好きな海に注いでいるのがうれしいうえに、深海という未知の世界へのロマンを感じさせてくれる点にも心惹かれるのである。

清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文

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