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日光浴は週に3回、30分を目安に


 
――1つめの日光浴ですが、2000IUのビタミンDを補充するために必要な時間はどれくらいですか? 

季節で異なりますが、3月から9月、つまり春の彼岸から秋の彼岸までは、午前10時から午後2時までがいちばん紫外線が強い。この時間帯に半袖半ズボンで30分、週に3回、日に当たれば平均で2000IUが補えると考えます。この考え方を前提に、ご自分で調整してみてください。

窓越しの日光では、ビタミンDを皮膚で作ることができません。外に出て直接、日の光を浴びてください。日焼けサロンもビタミンDは増えますが、皮膚がんが増えるという研究もあるので私はあまりおすすめしません。

――冬はどうすればいいですか?

1年のうちで日照時間が短くなる11月から3月にかけての時期が、年間でいちばん血中ビタミンD濃度が低下する時期なので、冬を含めたこの期間は積極的にサプリメントを摂取することをおすすめします。

緯度が高い北欧では紫外線量が少ないので国をあげてビタミンDを積極的に摂取しています。ビタミンDが足りないと病気になるリスクがあることを認識しているんですね。そのため、彼らの血中ビタミン濃度は、日本人よりも高いですよ。

サプリメントはビタミンD3を選ぼう



――サプリを摂る際の注意点を教えてください。

サプリメントは製品によって「IU」と「μg」単位で表記されているので注意してください。「40IU=1μg」であることを覚えておいてくださいね。1000IUの場合は25μg、2000IUの場合は50μg、5000IUの場合は125μgの表記になっています。

また、ビタミンDといっても、さきほどから私が話しているのはビタミンD3で、ビタミンD2ではありません。サプリメントもビタミンD3と表示されているものを選んでください。

――ビタミンD3とビタミンD2の違いは?

ビタミンD2は植物由来のビタミンで、干し椎茸が代表格です。一方のビタミンD3は動物由来で、ビタミンD2に比べて3〜4倍以上の生理活性があることがわかっています。

――ビタミンD3が多く含まれている食べ物でおすすめは何ですか?

手に入りやすく食べやすいもので、ビタミンD3の含有量が多いのは鮭です。紅鮭一匹で約1500IUが摂取できます。毎日、鮭の切り身ひと切れを食べていれば、ほぼ十分なビタミンDが補充できると考えてOKです。

生でもいいし、煮ても焼いても、含有量は変わりません。

――ビタミンD3を摂りすぎると何か問題はありますか?

ひと粒に2万5000IUのビタミンDが入っているサプリメントを、毎日飲んでいた人がうちのクリニックにいました。週に1回だけ服用するためのものを毎日飲んでいたので、血中濃度が150μg/mlにまで上昇していました。でも、副作用はまったく見られませんでした。

とはいえ、自分の体質や体格に合わせて、1日あたり2000〜5000IUを目安にすることをおすすめします。もちろん、自分の血中ビタミンD濃度を調べるのが最善ですが。

――ほかに何か覚えておくべきポイントはありますか?

実はビタミンDが代謝される過程で必要になるのがマグネシウムです。ビタミンDを大量に摂取していても、マグネシウムが不足していると活性型ビタミンが作れないので、マグネシウムとビタミンD3の2つを意識して補充しましょう。

マグネシウムは緑の濃い野菜、抹茶、ナッツなどに多く含まれていますし、サプリメントでもOKです。


日光を浴びる、鮭を食べる、サプリメントを摂取する。ビタミンDを摂取する方法は意外と簡単だ。健康のためならどうってことない新習慣、始めてみて間違いはなさそうだ。

ぎぎまき=取材・文

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