色以外の病気のサインとは
――最近おしっこが泡立つんです……。 「尿が泡立つ」といって泌尿器科に来る方はけっこう多いです。原因としては、糖尿病や蛋白尿、感染症などが考えられますが、こうした病気の場合は、痛みなどほかのさまざまな症状が表れるはず。
そう考えると、
尿が泡立つという症状だけで泌尿器科を受診された方に異常が見つかるケースはほとんどありません。ほかの症状が伴わない限り、それほど気にすることはないでしょう。
――おしっこのニオイが病気のサインになることは? ときどき尿の刺激臭を気にして来院される方もいますが、サプリの影響がほとんど。感染症による尿道炎の場合には、ニオイの強い尿が出ることがありますが、男性の場合はニオイよりも先に痛みを感じるはずですので、それほど心配する必要はありません。
また、「糖尿病患者の尿は甘いニオイがする」というウワサを耳にすることがありますが、そもそも糖はほとんど無臭ですし、何よりとんでもない量の糖が尿に含まれないかぎり甘いニオイなどするはずがありませんので、尿のニオイで糖尿病の有無を診断することはできません。
――では、「おしっこが出にくい」「出るときに痛い」は病気のサインになりますか? 男性の場合、
尿が出にくくなる「排尿困難」は前立腺肥大症の可能性が考えられます。ちょうど45歳くらいになると、前立腺がその後肥大していくか、萎縮していくかが決まります。
通常は萎縮していくのですが、遺伝などの影響によって肥大していく場合があります。残念ながら、前立腺は、一旦肥大の運命をたどると、途中から萎縮することはありません。
肥大の速度には個人差がありますが、生涯、肥大していくこととなります。前立腺が肥大すると、尿道のトンネルが狭くなり、尿が出にくくなります。放置すると完全に尿が出なくなることもあるので、早めに泌尿器科へかかってください。
尿をするときに痛みを感じる「排尿時痛」は、性感染症による尿道炎や前立腺炎などが原因の場合が多いです。ただ、まれに膀胱がんや進行した前立腺がんでも起こりうる症状ですので、こちらも早めの受診をおすすめします。
――「尿の回数が多い」のはどうでしょう? 尿の回数が多い「頻尿」は病気のサインになる場合が多いです。ただ、単に排尿の回数が多いだけの場合は問題になりません。排尿の回数は尿の量によって決まりますから、飲水量が多ければ多いほど、尿の回数や量が増えるのは当たり前。
そこで泌尿器科医が重視するのが、「
尿意切迫感の有無」と「
1回の排尿量」の2点です。
トイレに駆け込まないと漏れそうになる尿意が何度も小刻みに訪れるにもかかわらず、1回の排尿量が少ない。これは「過活動膀胱」と呼ばれ、膀胱がおしっこを貯蔵する容量が少なくなってしまった状態です。
原因は前立腺肥大症や過度なストレスのほか、間違った排尿習慣なども考えられます。
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