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チームビルディングや理念浸透はオフラインに

ただ、そうは言っても、まだ完全にはコロナが終息したわけではなく、かつ、これだけリモートワークが定着している現状で、何でもかんでもオフラインというのも現実的ではありません。

優先順位の高いものだけ、オフラインにする必要があります。最近のオンラインコミュニケーションの実践や研究で、知識や情報を伝達することは支障ないことがわかっているので、インプット系の基礎的研修についてはオンラインでよいでしょう。

一方で、オンラインは感情を伝えにくいことがわかっており、信頼関係が築きにくいので、チームビルディング系や理念浸透系の研修についてはオフラインにしたほうがよいでしょう。

知識インプットよりも先に人間関係構築を



もっと言えば、新人が組織に適応するプロセスは、まず組織内の人々との関係性を築き、受け入れられた感覚(受容感)を持つことが、最初のステップとして必要とされます。

受容感のあと、ようやく組織内の人々と協働して動くモチベーションやコミットメントが生じて、「ここでなんとかやっていけそうな気がする」という感覚(自己効力感)を得ることができるのです。

ややもすれば、新人研修はまずはやりやすい知識インプットから始まるものですが、このことを考えると、最初にすべきは新人同士や旧人たちとの関係性構築なのです。

ですから、最初はオフラインでチームビルディングを行い、徐々にオンラインで知識や情報のインプットをしていくという流れにするほうがいいでしょう。

声をかける前に、きちんと声を聞きましょう

人間関係を構築しないままにリモートワークに突入してしまえば、相談者が言うように「何と声をかけてよいかわからない」のも当たり前です。人間関係の構築には、相互理解が必要で、相手がどんな性格をしているのか、どういう能力を持っているのか、どんな価値観を持っているのかを知らなくてはいけません。

相手を理解すれば、相手がして欲しいことがわかり、初めて相手にメリットある行動を取ることができます。ですから、五里霧中の中、適当に「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」で声をかける前に、新人たちの声を聞いてみるべきではないでしょうか。

その際、もちろん新入社員個人の同意は前提ですが、オフライン、対面で時間をもらってゆっくり話してみてはどうかと思います。

グラフィックファシリテーター®やまざきゆにこ=イラスト・監修
曽和利光さんとリクルート時代の同期。組織のモヤモヤを描き続けて、ありたい未来を絵筆で支援した数は400超。www.graphic-facilitation.jp


曽和利光=文

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