トヨタでは、2000GTやスープラをはじめ、カローラレビン/スプリンタートレノ、さらにランドクルーザーなどのパーツを「GRヘリテージパーツ」として復刻(写真:トヨタ自動車)
またトヨタでは、2020年からいわゆる名車と呼ばれる車種の純正部品を復刻販売する「GRヘリテージパーツ」というサービスを行っている。
現在、1960年代の「2000GT」や、「スープラ」の3代目(1986年発売のA70型)と4代目(1993年発売のA80型)、「カローラレビン/スプリンタートレノ(1983年発売のAE86型)」のパーツを復刻販売。
また、2022年初頭をめどに「ランドクルーザー(1960年発売の40系)」のパーツ復刻販売も開始する予定だ。
だが、担当者によれば、「車種がまだ少ないことと、(あっても)本当にユーザーが求めている部品が出てこない」ことが、トヨタ車の旧車レストアを難しくしている問題点だという。
新車販売からユーザーサービスへ転換する販売店
チェイサーのリヤビュー(筆者撮影)
いずれにしろ、同社のレストア事業は、有料のサービスだが、それでも現在では利益が出るほどの売上にはいたっていない。
担当者は、「お客様には喜んでいただいていますが、あくまで企業としての事業ですから、利益が出ないことには続けられない」という。
今回の当展示会への出展は、同社のサービスを、広く一般に知ってもらうことで、より多くの旧車愛好家に利用してもらうことが目的だ。
受注が増えるなどで収益が見込めれば、作業するエンジニアを増やすなど、事業により投資することも可能となるし、なにより、継続することができる。それが、結果的に、より多くの愛好家へのサービスにもつながるという考え方だ。
以上のように、トヨタモビリティ神奈川とネッツトヨタ富山では、同じトヨタディーラーが行っているレストア事業でありながらも、具体的な内容や目指す目標などには違いがある。
だが、いずれも「長年車を愛するユーザーへのサービス」という最終的な目的は同じだ。顧客に最も近い販売の現場にいるディーラーならではの、「国産旧車ブーム」という時代のニーズを捉えた取り組みであるといえるだろう。
平塚 直樹:ライター&エディター
>東洋経済ONLINEの著者ページはこちら