ホンダ「ホーク イレブン(HAWK 11)」。
どっしり構えたエンジン部に、見るからに軽快さを帯びた足回り、そして仮面ライダーよろしくなロケットカウル……。
先日公開された「ホーク イレブン(HAWK 11)」を作ったホンダは「ライダー人生のアガリの一台に」と言うけれど、ネオクラシックブームの真っ只中の今、これは全世代に支持されるんじゃないだろうか。
乗るときも、降りてるときも満足できるバイク
ホークという名は、1977年登場の「ホークII CB400T」から取られた。
だから40年以上前に青春時代を過ごしたベテランたちに向けたバイクだということは理解はできるが、いやいや、単なる哀愁漂うクラシックバイクに収まらないのがこのホーク イレブンなのである。
搭載された1082ccの水冷4ストローク直列2気筒エンジンは、同社のアドベンチャーバイクである「CRF1100Lアフリカツイン」のものをホーク イレブン用にチューニングし直され、これに6速MTが組み合わされた。
フレームもアフリカツインのものを使いつつ、前傾姿勢でまたがるロードバイクへと大きく変貌を遂げている。
ハンドルも、アフリカツインのバーハンドルではなく、ワインディングを楽しむためのセパハン(セパレートハンドル)が採用された。
また大柄なアフリカツインをカフェレーサースタイルに収めるため、リア部分をコンパクトに見せるデザインに。ミラーがハンドルの下に置かれたのも、低く構えたライディングポジションに合わせるためだ。
もちろん丸型LEDヘッドライトや、円形デジタルディスプレイ、さらにスロットルバイワイヤやライディングモードといった電子制御など、現代のバイクらしい機能を備える。
このようにクラシックと最先端の融合があちらこちらで図られている。
例えばロケットカウルと言えばカフェレーサースタイル、つまりクラシックアイテムのひとつだが、ホーク イレブン用のそれは、製造方法からして最新式。
本来この形状なら上・左・右・下など数枚のパネルに分けて製作しボルトで繋ぐのが一般的だが、ホーク イレブンではFRP製の一体成型だ。
これはワインディングの景色をカウルに美しく映り込ませるためだという。そのためにカウルの面の質感を出すための最新処理技術も施されている。
タンク形状だってハンドリングを考慮しつつ、映り込みを意識してデザインされ、カウルのシルバーの部分もまた、普通ならステッカーで済ませるところを、手間はかかるがあえて塗り分けている。
これらはすべて、バイクを降りたときの愛車を眺める充足感を演出するためだという。
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現時点では「市販予定」としか発表されていないが、そう遠くない時期に販売されそうだ。
大排気量の2気筒エンジンが生む心地良い鼓動や排気音を楽しみながら、質感までこだわられたカフェレーサーで緑や街中を駆け抜ける。
ヘルメットを脱いだときの充足感は、ベテランはもちろんだが、新人やリターンライダーこそ大きいはずだ。