40年間、ファンの方のおかげでここまで走ってこられました
原田は今年でデビュー40周年を迎える。これまでのキャリアを振り返っての感想をたずねると、「長かったです」とひと言。
「14歳から始めて10〜50代と、各世代を乗り越えてきているので、仕事だけでなく人生として長い月日だなと思います。
デビュー直後は敷いてもらったレールの上をひたすら走っていました。特に学校に通っていた最初の4年間は本当に忙しくて、とにかく目の前のことをこなすのに必死になっていました」。
そんな苦難を乗り越える原動力となったのはファンの温かい声援。時おりずれてしまったマスクの位置を指先で直しつつ、熱心に言葉を紡ぐ。ぶかぶかなサイズ感が、彼女の小顔をより際立たせている。
「ファンの方からいただく手紙やメッセージを読んだときに、応援してくださる熱意や次回作へ期待する声がとてもありがたく、感謝の気持ちでいっぱいです。
だからどんなに大変なことがあっても、ファンの皆さんが待っていてくれると思うといつも頑張ろうって思えました。それは今でも変わりません」。
40周年記念のニューアルバムのタイトルは『fruitful days』。意味は“実りある日々”。
「40周年ということもあり、それにつながるタイトルを考えていたのですが、振り返ってみたら本当にいろいろな出会いがあって、その時期ごとに“実り”があったなと思ったので、このタイトルにしました。
今回はいろんな作曲家、作詞家の方に参加してもらい、自由に作っていただいたので、どの曲も彩り鮮やかといいますか、それぞれが個性ある素敵な曲に仕上がりました。自分自身が持つ、あらゆる表情を引き出してもらったと感じています」。
デビュー40年とは思えないほど、外見がまったく変わらない。美や若さの秘訣は何なのか。“きれいなおじさん”に憧れを抱くオーシャンズ読者にとっては、非常に気になるところ。
「食事や睡眠をしっかり取って、心身にストレスを溜めないようにしているくらいで、特別なことはしていません。ただ、カラダにいいと言われている食べ物やスキンケアグッズなどは積極的に試すようにしています。
そうそう、友人からすすめられて始めたのですが、最近は朝起きたらまず、クマザサのエキスを飲んでいます。
何ミリかカップに注いでお湯と一緒に飲むのですが、内臓が温まるので胃腸にいいのと、血液もサラサラになるので疲れやだるさも取れるんです」。
最後に、生きているうちに成し遂げたい夢を訊いてみた。すると「何だろう、特に大きな夢はないんですけど……」と呟き、原田は神妙に語る。
「健康でアクティブに動ける時間をたくさんつくって、いかに充実した日々を送るかということが目下の夢ですかね」。
と、言い終えるやいなや、何か思い出したかのように「あっ!(笑)」と言いつつ。
「あとこれは夢ではなく明確な目標ですが、ゴルフのスコアで100を切ること! これは近いうちに実現させたい!(笑)」。
糸のように目を細め、マスク越しでもわかるほど顔いっぱいに笑顔を広げながら、何とも楽しそうに語る。
取材を終えると「今日はありがとうございました」と、春のひだまりのような温かな笑顔をたたえ、丁寧にお辞儀をすると、原田は桜の花吹雪を舞わせつつ艶やかな花びらを残して部屋から去っていった。
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