ランドクルーザー・プラドは70系、90系、120系、150系
・プラドの“紀元前”的70系(ランドクルーザー・ワゴン)
ランドクルーザー・ワゴン70系(1985年)。
1985年、バン(商用車)の70系から派生した乗用車仕様が「ランドクルーザー・ワゴン」。これがランドクルーザー・プラドの祖となる。
「70シリーズ初となるワゴン仕様は3ドアのショートボディでした。エンジンは2.4Lディーゼルターボ。
もととなる商用の70系や60系とは異なり、乗用車仕様としてサスペンションは前後リジットとしながらもリーフスプリングではなく、乗り心地の良いコイルスプリングが採用されました」。
・初めてのプラド70系(ランドクルーザー・プラド) ランドクルーザー・プラド70系(1990年)。
さらに1985年には3ドアのみだったランドクルーザー・ワゴンに5ドアモデルが追加され、同時にサブネームの「プラド」が付けられた。
「ショートの選択肢もあり、伝統のラダーフレーム。クロカン4WDとしての性能はそのままに乗用車としてのパッケージされたランクルです」。
搭載エンジンは引き続き2.4Lディーゼルターボが採用されたが、1993年に3Lディーゼルターボに変更された。
・街乗りを意識した90系
ランドクルーザー・プラド90系5ドア。3ドアは丸目2灯となる。
1996年に登場した90系から乗用車志向が鮮明に。3ドアと5ドアではフロント周りのデザインが異なる。
「デビュー時の搭載エンジンは3.4Lガソリンと3Lディーゼルターボ。80系や100系と比べて排気量が小さいですが、ボディも小さいので扱いやすい一台です」。1997年に2.7Lガソリンが追加された。
「シャシーが当時のハイラックスサーフと共有化されたため、フロントが独立懸架式、リアがリジット式になりました」。また従来のパートタイム4WDではなく、フルタイム4WDとなっている。
・21世紀最初のランクル120系 ランドクルーザー・プラド120系。
2002年に120系へとモデルチェンジ。悪路走破性が高められるとともに、電子制御式エアサスペンションが用意されるなどオンロードでの快適性の向上も図られた。
「こちらもハイラックスサーフと共有のシャシーで、ショートボディも用意されました。デビュー時の搭載エンジンは3.4Lと2.7Lのガソリン。3Lディーゼルターボがあり、2005年にガソリンエンジンは3.4Lが4Lに切り替えられました」。
・後期型で人気に火がついた現行型150系 ランドクルーザー・プラド150系。
2009年に登場した150系から、国内では5ドアモデルのみの販売となった。
「デビュー時の搭載エンジンは4Lと2.7Lのガソリンエンジン。極低速を自動で維持するクロールコントロールや、首位の路面状況を確認できるマルチテレインモニターなどが用意されました」。
「後期モデルは迫力のあるフロントマスクに変わり、人気がかなり高まっています」。2015年には2.8Lディーゼルターボが追加され、2017年に衝突被害軽減ブレーキを含むトヨタ・セーフティ・センスPが標準装備された。
海外で生き続ける70系のバン(商用車) 2014年に再販された70系。
60系などのランドクルーザーと、90系などのランドクルーザー・プラドとは別に、ランドクルーザーの祖であるBJ型の正統後継車の「ヘビーデューティ」系もある。
1984年に登場した70系バン(商用車)がそれだ。プラド70系はこの70系バンの乗用車仕様で、そこからプラドへと独自進化していったというわけだ。
「さまざまなバリエーションのある仕様はとても語り切れませんが、あくまでも“ギア(道具)”に徹しており、いずれもシンプルなパッケージで余計な装備は設定されていないのが特徴です」。
日本では2004年に販売が終了しているが、今でも海外では70系バンは販売されている。
「この“復刻版”は、AT(オートマ)が設定されていなかったにも関わらず、想定以上の販売台数だったようで高値で取引されています」。
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このように、ランクルにはひと口では語りきれない多くのバリエーションが存在する、スタイルやスペック、装備、乗り心地など、ランクルの中でも自分は何が欲しいのか? を冷静に見定めることがまずは重要なのだ。
次回はそれぞれの系統ごとの現在の市場動向を深掘りする。
[取材協力]フレックス・ドリームwww.flexdream.jp