デザインの仕事とバイクカスタムの共通点
小野さんにとって、バイクカスタムの魅力とは何なのだろう?
「ああしよう、こうしようと思いつくのが楽しいんですよ。実は製作などの作業自体は苦痛以外の何物でもないんですけど(笑) 大人の趣味として、バイクは打ってつけのサイズ感だと思いますね。
プラモデルよりも実用と地続きですし。車だと規模が大きすぎて、車検対応とかも面倒くさいでしょ」。
シートのように見えるが、トライアルでは座らない。実は燃料タンクのホース穴を隠す蓋。メープルを挟んだ集成材をかんなで削りニスとステインでフィニッシュ。
小野さんの本職である建物の場合、配管、木工、電気など、多岐にわたるすべてを理解していないと良いものは作れない。それに比べれば、確かにバイクはホビーレベルかもしれない。
「それから、バイクに乗るとなると街乗りやツーリングを思い浮かべる人が大半かと思いますが、バイクトライアルのようなクローズドなところで遊ぶのも一興ですよ。
自分の場合は、コンマ何秒を競うレースではなく、コースと向き合って1人で遊べるオフロードが性に合っていたんでしょうね。同じ趣味を持つ者同士のコミュニティもあるので、仲間と濃い付き合いができますし」。
仕事が忙しいときほどバイクに乗ったり、いじりたくなる衝動に駆られるという小野さん。
製図ソフトを動かしながら、「あそこをこうカスタムしたら良さそうだ」と、アイデアが急に降りてきたら、5分10分でもいじるのがしょっちゅうだとか。
「そのまた逆もあって、バイクをいじっているときに、仕事の面でのブレイクスルーがあったりするんですよね」。
最初に完成してからは、主だった変更点はエンジンを「ホンダ・CD90」のものに載せ替えたのみ。
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