マニアが熱視線を注ぐ伝説的なLED時計、ジラール・ペルゴ「キャスケット」。数カ月前に復刻のニュースが流れた一本はなぜ、これほどまでに好事家を魅了するのか?
キャスケットがデビューした1970年代に時を戻して魅力を探ったら、なるほど、今も熱狂を呼ぶ理由が見えてきた。
短命に終わった幻のLEDウォッチ、誕生の瞬間
今見ても新鮮なデザイン。1970年代に誕生したジラール・ペルゴ発のLEDウォッチ。
1970年代は、機械式時計にとって不遇の時代。クオーツ時計が台頭したため、一気に市民権を奪われてしまったのだ。
一方で、そんな時代に争うべくユニークな時計も誕生した。
当時、流行していたLED時計に参入する高級時計のブランドも多く、ジラール・ペルゴのキャスケットもそのひとつだった。
レトロフューチャーな雰囲気が漂うマクロロン製ケースの初代キャスケット。
“キャスケット”と当たり前に書いているが、発売当初、正式なモデル名はなかった。
こう呼ばれるようになったのは、同時代のマッスルカーを彷彿させるチューブ状のLEDディスプレイを持つことから、愛好家たちが“キャスケット”という俗称で呼ぶようになったからだ。
そんなオリジナルのキャスケットは、1976年から1978年の2年間で8200本が生産された。
マクロロン(ポリカーボネート)、イエローゴールドプレート、ステンレススチールの3種類のケースでの展開があり、今もなおデジタルウォッチの蒐集家たちの心を鷲掴みにしている。
ケース素材別の3本のキャスケットが陳列されたディスプレイの様子。
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