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2022.03.20

ライフ

海ゴミを全部なくすために10代で立ち上げた国際NGO「オーシャン クリーンアップ」の本気

「オーシャン クリーンアップ」。

「オーシャン クリーンアップ」


高校時代に訪れた海外旅行先で見た光景が忘れられず、“海のプラスチックごみをすべてなくす”ことを目指して10代で立ち上げた組織。

それがオランダ人のボイヤン・スラット氏による、ロッテルダムを拠点とする国際NGO「オーシャン クリーンアップ」だ。

スラット氏の冒頭の旅行先はギリシャ。美しく見えた海でのダイビング中に目にしたのは、魚より多く浮遊するプラスチックだったという。

以来、海ごみについて学び、幾度とないテストを重ねて思いたったのは、海流によってごみがたどりつくエリア「ごみベルト」に回収システムを設置するというアイデア。

それはやがて全長約600mに及ぶU字形の浮きと、その浮きの下部に約3mのスクリーンを備えるシステムとなって、“太平洋ごみベルト”と呼ばれる米国カリフォルニア沖からハワイ沖にかけての海域に設置された。

 

左上は太平洋ごみベルトから回収した海洋プラスチックを使って作られたオリジナルのサングラス。収益の100%が継続的なクリーンアップ作業資金となる。団体のウェブサイトから購入可能。199ユーロ


同システムが画期的だったのは、海洋生物はスクリーンの下をすり抜けるため生態系に影響がなく、太陽光などのクリーンエネルギーを使うため、活動による環境負荷もコストも低く抑えられること。

何よりの特徴は、従来の船を使った方法より7900倍もの速さで海ごみを回収できることだった。

今後はシステムの機器をより進化させ、かつ運用エリアの拡充を目指す。また海へのプラスチック流入を未然に防ぐ河川システムを世界中の汚染のひどい河川に設置し、海が汚れることを防ぐ取り組みも行っていく。



「オーシャン クリーンアップ」
【設立年】2013年
【設立国】オランダ
【理念】・使命に徹する ・インパクトを与える ・改善への意欲 ・ともに行動する
【SNS】Instagram@theoceancleanup


草間智博(TENT)=写真 小山内 隆、増山直樹=文

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