車内側から見た「NP1」。本体取り付け寸法はW118×H75×D93mm。一般的なドライブレコーダーより少し大きい。
カーナビがなかった頃は、助手席に座った人が地図を開いて、文字通り運転の助手として、ドライバーに道を伝えていた。
そして今や、ドライブレコーダーくらいの小さな機械が、「2つ先の信号を右です。右側の車線を進んでください」なんて丁寧に教えてくれるようになった。パイオニアのドライビングパートナー「NP1」だ。
車外側はこんな感じ。電源はシガーソケットから。ジャンルはドラレコでもカーナビでもなく「ドライビングパートナー」。
欲しい機能が詰まった次世代ナビは「画面なし」
ナビのモニター画面はない。フロントウインドウにドライブレコーダーのような本機を備えるだけだ。“ドライビングパートナー”という名の通り、あとは話しかければあれこれ面倒を見てくれる。
AI音声機能が備わっているので、ナビゲーション機能を使う際は「どこそこに行きたい」と話しかけるだけ。
ルート検索結果も音声で案内してくれ、あとは信号や一時停止標識など分かりやすい目印、どのレーンを進めばいいかなどを具体的に伝えながら案内してくれる。
画面を見なくても進むべき方向がよくわかる。まるで優秀なナビゲーターを雇ったようなものだ。そして画面を見なくて済むから、ドライバーは視線を前方に集中できるので、安全運転にも繋がる。
画面や操作ボタンはない。話しかければ音声で丁寧に教えてくれる。
NP1は、ナビゲーション機能だけではない。例えば、見た目通り、ドライブレコーダーとしての役割を果たす。
駐車場に車を停めてカフェで寛いでいるときも、車が衝撃を受けたら瞬時にスマホの専用アプリと連携し、ドライバーに異常を知らせてくれる。
ドライブをしていれば、目の前に予期せぬ絶景が突然広がることもある。そんなときは、音声で指示するだけで車窓からの絶景を写真で撮影してくれる。だからシャッターチャンスを逃すことはない。
ドライブレコーダーとして映像はSDカードに保存。音声で指示すればクラウドに保存することもでき、スマートフォンアプリで確認できる。
さらにWi-Fiスポット機能も搭載し、車内で最大5台までスマホやタブレット等を接続できる。これなら後席で子供たちが好きな動画サイトやゲーム等を存分に楽しめて、渋滞中の不平不満を聞く機会も減りそうだ。
まあ、ここまでは想定内、という人もいるかもしれない。けれどこの優秀な“ドライビングパートナー”はまだまだデキる。
「音声だけで外と繋がる」機能を備えているからだ。例えば初めて友人宅を訪れる場合、住所だけナビにインプットしても、それが合っているかは家の表札を見るまではっきりとしない。
しかしこのドライビングパートナーは、「近くまで来ているはずなんだけど……」なんてときに友人に走行中の映像を送ることができる。
友人はスマホでその映像を見ながら「そうそう、そのコンビニを右に入って……」なんて彼の音声で道案内してもらうことも可能だ。
時間や自車位置等の情報から、その時々にドライバーが興味を持つトピックを案内してくれる。
今後はAmazon Alexaも搭載される予定。Alexaに対応したエアコンや電気給湯器を家に備えれば、帰宅する前に「Alexa、家のエアコンをつけといて」とか「お風呂に湯をはっといて」なんてこともできそうだ。
お値段は一般的なドライブレコーダーより少し高いが、従来のカーナビゲーションよりもお手頃な6万5780円(通信+サービス利用料1年分含む)。さらに今後も定期的にいろいろな機能のアップデートが予定されているという。
この優秀さは、カーナビやドラレコの枠を超えてもはや執事レベル。“雇う”べき価値は、十分あるだろう。