言葉②「変わっていく勇気は必要ですが、変わらない信念も必要」
Q:巨人時代の2017年以降は苦しい時期が続きました。20年には3軍も経験しましたが、キャリアを振り返って、壁をどのように乗り越えてきたのですか? プロに入って、いろんなことを知る前までは良かったと思います。怖くなかったというか、「俺、別にプロでもできるし」なんてなめた考えでいましたけど、打たれることの怖さだったり、マスコミの辛辣さだったりを知って、プロ野球の怖さを知ったときに、一歩引いて小さくなっちゃった感じでしたね。周りからの評価ばかり気にしてました。
「こう思われなくちゃいけない」「こうしなくちゃいけない」。だから「何々をしなくちゃいけない」って思った瞬間に、もう楽しくなんかないし、一歩引いちゃったなって。7年目から10年目途中ぐらいまでは、迷ってたと思います。
Q:ぶれない澤村さんでも、恐怖を感じたり、迷いが生じた時期があったのですね 人のせいにばっかりしてましたね。例えば、あの時のエラーがなければとか、チームプレーなのに。現実を受け入れるのが怖かったんだと思います。
自分が衰退していくっていうんですかね?自分が落ちていく、下手になってくるっていう現実を受け入れ難かったんじゃないすかね。
Q:目の前にある壁。乗り越えるために、何を考え、どのような行動を起こしたのですか? そんな状況でも、「本当にやるべきことをずっとやり続けるしかない」っていうのは変わらなかったです。自分の長所は信念を貫くことしかないから、ずっとトレーニングは続けました。
Q:2020年にロッテに移籍されたことをきっかけに輝きを取り戻されたように思うのですが、信じた道の先に壁の向こう側があったという感覚ですか? 巨人からロッテにトレードされた翌日に、(一軍で)もう僕、投げてるんですよね。あれこれ考えてる暇はなくて、無でしたね。
ロッテファンにうけてないことだってわかるし、ストライクも入らないし、印象も悪いですよね。「澤村」って呼ばれた時のファンの「えー!?」みたいな変などよめきも聞こえてました。
ただ、使ってくれた(監督の)井口さんと、(投手コーチの)吉井さんは裏切れないっていうのは強く思いました。使ってくれるんだったら、やるべきことやろうって。もうシンプルになりました。
そしたら、その試合で結果が出せて、スタンドのどよめきが「キャー!」という歓声に変わった。その時ですね。トンネルを抜けたのは。
Q:トンネルを抜けるために行動の面で意識していたことはあったのですか? 根本的には何も変わってないと思います。技術的には。ただ、やり続けてきてるんで、本当にメンタル一つだと思いますね。
変わっていく勇気ってすごい必要なんですけど、変わらない信念も必要なんで。絶対そこだけは曲げないっていうもの。僕だったらトレーニングはずっとやり続けるとか。そこしかないです。
Q:やはり、自分自身が大切にしている考え方、「信念」が大切だと? 信念はぶれないです。絶対に。やり続けることだったり。誰に言われてもぶれないです。僕は、それを目上の人に対しても、目の前で言えます。
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