「私は年間数十万本もの時計を製造するファクトリーを経営する一家に生まれました。従来の考え方を180度変え、そこでの経験を活かしてもっと時計製造自体によりお金を掛け、身近な価格で本当にいいものを作る。
そうすれば、今よりもより多くの人が機械式時計を楽しめる。時計業界で働くうちにそんな考えを抱き、自分たちの手で時計作りの冒険を始めました」。
こう語るのは、今年1月にスイス・ビエンヌでスタートした新時計ブランド、ノルケインの若きCEO、ベン・カッファーさん。その誕生の背景から、ブランドは「自由」「冒険心」「独立の精神」を哲学に掲げる。思いは通じ、既に世界中で大人気だ。
ノルケインはシリーズ名も彼らの哲学から取っており、左から「アドベンチャー」「インデペンデンス」「フリーダム」。すべて機械式ムーブメントを搭載し、生産を担当するのは年間数十万本ものスイス時計を製造してきたファクトリーで品質も確か。
「私たちの強みは価格を超えた製品のクオリティ。あなたもこの冒険にぜひ参加してください!」。確かに、こうした新たな哲学に共感して時計を選ぶというのもいい。
清水健吾、鈴木泰之=写真 TAKATOSHI AKUTAGAWA、渋谷康人=文