物事の本質を徹底的に洞察することが哲学ならば、ブランドによっての「時間」の本質が何であるか、それぞれ異なるのは自明だ。時折、時間について考えさせられる哲学的な時計が登場する。そこで、ふと立ち止まり、時間について深慮するのも一興だ。
HERMÈS
エルメス/スリム ドゥ エルメス ルゥール・アンパシアント
待ち遠しい時の訪れを表現したポエティックな時計
「スリム ドゥ エルメス」をベースに、本作では4時位置のインダイヤルで任意のアラーム時刻を設定できる複雑機構を搭載。設定時刻の1時間前から7時位置のレトログラード針がカウントダウンを始めるのだが、ゆっくりと進む針は、まるで機械仕掛けの砂時計のようで訪れる時への期待を高める。“ルゥール・アンパシアント”が仏語で“待ち遠しい時間”を意味するのもそのためだ。そしてクライマックスの瞬間、一度だけ鐘が鳴る。それは身に着けた者だけがわかる控えめで美しい音色だ。
GRAHAM
グラハム/クロノファイター グランドヴィンテージ リミテッド
時刻を眺めるたびに生と死、人生の残り時間に想いを馳せる
トリガー型のスタート・ストップボタンを持つ「クロノファイター」は、グローブを着けたまま操作した爆撃機用タイマーのデザインを継承する左側の巨大なトリガー型プッシュボタンを配置したクロノグラフ。同シリーズの最新作では、そのサファイアクリスタル風防の内側にレーザー加工でスカルモチーフを刻印。覗き込むたびに生と死について考えさせられる。
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