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2019.07.25

時計

身近にもっとアートを。伝統工芸の美と匠の技が宿った腕時計3選


見るからに伝統工芸的なアートから、言われて初めてわかる繊細なクラフトまで、時計に見られる技巧は、多岐にわたっている。美術館、博物館級の芸術品を腕元に宿せるのが、こうしたアートピース。値段を見て驚いたなら、理由にも納得できるはず。


GRAND SEIKO
グランドセイコー/エレガンスコレクション
スプリングドライブ 20周年記念モデル
美しい雪渓の光景を滑らかな針の動きに重ねて


GRAND SEIKO グランドセイコー/エレガンスコレクション スプリングドライブ 20周年記念モデル 美しい雪渓の光景を滑らかな針の動きに重ねて 7月6日発売予定。世界限定30本。Ptケース、38.5mm径、手巻きスプリングドライブ。800万円/グランドセイコー 0120-302-617


スプリングドライブ20周年の記念モデルは、薄型かつ84時間駆動の手巻きスプリングドライブを搭載し、文字盤からケースまでを“雪白”の模様で覆う。この技法は1971年に発表した「56GS」で採用され、信州の雪渓をイメージする。風紋が刻む粗い雪氷を思わせるとともに、静かで滑らかな針の動きとも呼応する。



荒々しさと繊細さを併せ持つ雪氷を表現
プラチナケースをザラツ研磨で歪みなく磨き上げたあと、精細な模様をリューターを用い、手作業で刻んでいく。アトランダムに見えて、実はデザインスケッチに基づき、理想の模様を表現する。ざらついた表面からは手仕事の温もりが伝わってくる。

 

PATEK PHILIPPE
パテック フィリップ/ワールドタイム 5231
伝統の工芸美が宿るワールドタイマー


PATEK PHILIPPE パテック フィリップ/ワールドタイム 5231 伝統の工芸美が宿るワールドタイマー 今秋発売予定。K18YGケース、38.5mm径、自動巻き。803万円/パテック フィリップ ジャパン 03-3255-810


世界主要24都市の時間帯を把握できるワールドタイマーは、機能もさることながら工芸的な美しさも魅力。文字盤の中央には、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸をクロワゾネ七宝装飾で描く。2019年の新作はラグが繊細なウイングレットになり、ベゼルも細くスムースなスタイルになった。針が指し示すのは12時位置にある都市のタイムゾーンで、10時位置のボタンで都市を変更できる。



より精細に、濃淡の深みある色彩を表現
北極から見た地球の姿をクロワゾネ七宝装飾で表現する。これは有線七宝とも呼ばれ、描くモチーフに従ってまず文字盤に金線を張り、その間に釉薬を流し込んだあと、高温で焼成する。この工程を何層にも重ね、美しい彩色が出来上がる。

 

CAMPANOLA
カンパノラ/NZ0000-15F 千夜燈
宇宙に浮かぶ地球に燈る、人々の営みの灯を漆螺鈿で表現


CAMPANOLA カンパノラ/NZ0000-15F 千夜燈 宇宙に浮かぶ地球に燈る、人々の営みの灯を漆螺鈿で表現 SSケース、42mm径、自動巻き+手巻き。80万円/シチズン 0120-78-4807


「時を愉しむ、日常を愉しむ、個性を愉しむ」をテーマに、先進技術と伝統の装飾技法を融合させるカンパノラ。このモデルはラ・ジュー・ペレ社の機械式ムーブメントを搭載し、文字盤は“千夜燈(ちよのとぼし)”と名づけられる。宇宙から眺めた、灯の燈る地球の姿を日本の伝統的な装飾技法と匠の技で表現した1本だ。



会津塗の伝統の漆技法が文字盤に息づく
“千夜燈(ちよのとぼし)”の文字盤は、漆塗りによる漆黒の背景に、金箔や金粉で夜景を描き、そこに螺鈿を加える。手掛けるのは、会津塗の伝統工芸士、儀同哲夫氏。歴史ある漆塗りの工芸技法を余すことなく時計に注ぎ、現代へと継承する。

 

※本文中における素材の略称は以下のとおり。SS=ステンレススチール、K18=18金、YG=イエローゴールド、Pt=プラチナ

柴田 充、髙村将司、渋谷康人、水藤大輔、中村英俊=文

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