時計の記事に散見される専門用語の多くは、その機構を示すもの。ここでは人気、実用性、個性派という観点から選んだ、8つの機構について学ぶ。
きっと時計偏差値が高まれば高まるほど、どんどん時計が好きになっていきますぞ。
[左]ZENITH
ゼニス/デファイ エル・プリメロ 21 カーボン
半世紀の技術革新を注ぎ、1/100秒計測の世界へ
自動巻き式クロノグラフの歴史は、今から50年前に始まった。なかでもゼニスのエル・プリメロは、一体型構造に加え、毎時3万6000振動というハイビートを誇り、1/10秒までの計測を実現。進化を遂げた最新モデルでは、時刻表示とクロノグラフのそれぞれに独立した香箱と脱進機を設け、特に後者は36万振動を備える。これにより、1/100秒までの計測を達成させた。カーボンケース、44mm幅、自動巻き。203万円/ゼニス ︎03-3575-5861
機構名_クロノグラフ時間の経過を任意で止め、積算計測のできるストップウォッチの機能。文字盤に独立した時分の積算カウンターを備え、クロノグラフ作動中も通常の時刻を読み取ることができる。スポーツウォッチとしても人気の高い機能で、近年ではより正確な時間を計測することが可能に。
[右]IWC
アイ・ダブリュー・シー/ビッグ・パイロット・ウォッチ・
パーペチュアル・カレンダー ・スピットファイア
実用パーペチュアルの伝統をパイロットに継承
高名なIWCの設計師、クルト・クラウスが手掛けた1980年代の実用パーペチュアルの伝統は、今もなお脈々と受け継がれている。7日巻きのパワーリザーブはやすやすとムーブメントを止めてしまうことなく、たとえカレンダーの調整が必要になった場合もリュウズひとつで簡単に行える。
ケースは経年変化が楽しめるブロンズを用い、そこにオリーブ・グリーン文字盤がアクセントを加える。北半球と南半球の月を表示するムーンフェイズ、その横に描かれた機影は、パイロットウォッチらしい大空への憧れをそそるのだ。世界限定250本。ブロンズケース、46.2mm径、自動巻き。318万円/IWC ︎0120-05-1868
機構名_パーペチュアルカレンダー永久カレンダーとも呼ばれる。通常、大の月と小の月によって必要となるカレンダーの調整をすることなく、さらに4年に1度訪れる閏年の周期も計り、自動的に日捲りする。18世紀末ブレゲによって開発され、腕時計では1925年にパテック フィリップが実用化した。
MIDO
ミドー/マルチフォート デュアルタイム
80時間の連続駆動に、第2時間帯表示を備えた実用派
ミドー初のGMT機能を装備したキャリバー80を搭載。80時間を誇るロングパワーリザーブに加え、中心に備えたオレンジ色のGMT針が第2時間帯を指し、24時間表示によりその昼夜も確認できる。シンプルなフェイスは視認性も高く、2つの時間針を見誤ることもない。旅の時間をよりスマートに支える、信頼できる実用GMTだ。
機構名_GMT(デュアルタイム)GMTとはグリニッジ標準時(世界標準時)を意味し、現在地に加え、時差のある異なる時刻を表示できる。グローバル化する時代背景から、海外渡航やビジネスなどでも実用的な機能だ。GMT針のほか、回転ベゼルやインダイヤルの表示などスタイルはさまざまだ。
A.LANGE & SÖHNE
A.ランゲ&ゾーネ/ランゲ1・タイムゾーン “25th アニバーサリー”
操作性と視認性を両立した、25周年記念の旅時計
「ランゲ1・タイムゾーン」独自のタイムゾーン機能は、ワールドタイムとGMTの機構を統合。都市名が記された外周リングに同期し、サブダイヤルでその時間帯を瞬時に表示する。2つの時刻表示は、いずれもデイ&ナイト表示を装備。誕生25周年を祝した記念モデルは、シルバー文字盤にブルースチール針をはじめ、鮮やかなブルーが映える。
機構名_ワールドタイムワールドタイムは、世界の主要都市の時間帯を俯瞰して把握できる機構だ。もっとも一般的なのは、文字盤に記された都市名を指定の位置にセットすると、針が自動的にその土地のタイムゾーンを指し示すというもの。そのほか、世界地図で表示して視覚的にも楽しめるタイプも。
2/3