ここで紹介するのは、表と裏で多種多様な表現をしている時計。付加機能を備えたり、本来は裏に秘めた個性を表に移したり。まったく異なる魅力を備えたものもある。いずれも裏表という既成概念にとらわれない、独創性に惹かれる。
BOVET
ボヴェ/アマデオ フルリエ ヴィルトゥオーソ Ⅴ
3つのスタイルで2つのデザインを楽しむ一方は5日巻きムーブメントをむき出しにしたデザイン。もう一方は、ジャンピングアワーとレトログラード分針のみという削ぎ落とした顔立ち。表と裏という概念がないボヴェを象徴する1本で、特許取得のケースは腕時計としてだけでなく、ベルトを取り外せばデスククロック、懐中時計としても使える。
TISSOT
ティソ/ティソ ヘリテージ 2018
懐中時計の歴史を回顧する本格手巻き式歴代アーカイブをモチーフにしつつも、現代的な実用性やスタイルを与えて蘇らせるティソの復刻シリーズ。その最新作は、1943年のニッケルクローム合金ケースの手巻き式時計にオマージュを捧げる。
オリジナルが搭載したティソ専用の27mm径キャリバーに対し、こちらも同じ手巻き式のETA6498-1を採用。これは、オールドムーブメントマニアの間でも人気の高いユニタス社のメカをベースにする。風格あるフェイスと同様、ケースバックに隙間なく配された大径ムーブメントも武骨さと迫力に溢れる。
HUBLOT
ウブロ/ビッグ・バン ウニコ ブルーマジック
技術にスポットを当てた自社ムーブメントの矜持フュージョンというコンセプトに基づき、先進素材や独創的な複雑機構を組み合わせたエッジィなデザインが注目を集めるが、その根底には実用性と信頼性を併せ持つ時計の本質が貫かれる。その象徴が自社研究開発のクロノグラフムーブメント「ウニコ」だ。
2009年に開発され、精度と堅牢性を両立し、さらに本来は文字盤の裏に位置するクロノグラフの作動機構を表面に設けることで、水平クラッチやコラムホイールの動き(6時位置)を見ることができる。存在感のあるケースは独自のブルーセラミックスを採用し、美しい発色と緻密なメカニズムが見事に融合する。
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