神宮前2丁目。個性的なアパレルや飲食店が並ぶこのエリアに、とりわけ異彩を放つ古着店「カウンシル フラット ワン」がある。
その中央を陣取るレジカウンターには、店の主人であるスタイリストの馬場圭介さんが座る。
訪れたのは渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。
渡辺 こんにちは。馬場さんは大先輩なので少し緊張します。店は3年経ちますか。
馬場 そうね。そばに、ベベ(渡辺の愛称)の店があった頃とも少し被ってるから。
渡辺 ここって、最初はスタイリストの事務所として使われていたんでしたっけ?
馬場 そう。今もバックヤードは事務所で、商品と一緒に俺の私物も置いてる。本やフィギュアとかも。それらは非売品だけど。
渡辺 ヴィンテージや馬場さんのブランド「ノルマン」のものが並んでいて。以前は私物も売ってましたよね? すごいお宝で。
馬場 あれはもうなくなっちゃったな。
渡辺 でしょうね。英国カルチャーの色が濃い店からは、馬場さんの“好き”を強く感じます。常に同じ方向を向いている馬場さんらしさは、ずっと変わっていませんね。
馬場 これからも変わらないよ。
渡辺 僕にとって馬場さんは、この業界で家族の次によく知っている人。30年ぐらい前の話ですが、泥酔した姉を家までよく送り届けてくれたんです。
僕が大学受験生の頃、深夜、机に向かっているとサイコ刈りのブッ飛んだニーチャンが階段を上ってくる。怖いけど優しくて、格好いい。衝撃でした。姉は当時モデルで、馬場さんを勝手に姉の彼氏だと思い込んでた。で、姉に聞いたら「有名なスタイリストだよ」って。
馬場 お前の姉ちゃん、相当だよな(笑)。
渡辺 はは。ところで、若い頃はどんなショップで買い物をされてましたか?
馬場 ん〜。「アストアロボット」とか「ハリウッド ランチ マーケット」も行ってた。あとは、海外の古着店で買うことが多いね。
渡辺 ここにも、1980年代にあったロンドンの古着店のような雑多な感じがある。とにかく服好きなオヤジが主人で、いらっしゃいませも言ってくれないような感じの。
馬場 俺は一応言うわ(笑)。そもそも古着って、人にすすめられて買うもんじゃないし、接客はあんまりしないかな。
渡辺 なるほど。今日も馬場さんを慕っている若い常連の子たちが来ていたり、客層は幅広いですよね。
馬場 あいつらと話していると、楽しいよ。
渡辺 いいなあ。こういう店って、本当に少なくなっちゃった。お忙しいとは思いますが、これからも店に出てくださいね。
馬場 おう。またな。
——重鎮スタイリストが見てきたもの。新旧を超えた本物が、この店にはある。 「カウンシル フラット ワン」
住所:東京都渋谷区神宮前2-23-1
電話番号:03-6807-0812
営業:12:00〜19:00(日曜は18:00まで) 不定休
instagram@councilflat_tokyo