4 men for JL Storiesとは……モノ好きな男たちに支持を集める時計ブランド「ジャガー・ルクルト」。
その魅力を、4人のスタイルある男たちの言葉から紐解くスペシャル企画。
ファッションデザイナー尾花大輔さんに続く2人目は、ファッション誌や広告など、コマーシャル界の第一線で活躍するフォトグラファー長山一樹さん。
現代のジェントルマンが語る、装いと時計の関係、そして時間との向き合い方とは。
初めて購入した高級腕時計は「レベルソ」の復刻モデル
長山一樹●1982年生まれ。2004年に守本勝英氏に師事。'07年に独立し「S-14」に所属。以来、さまざまなファッション誌や広告などで活躍する。’18年には初の個展「ON THE CORNER NYC」を開催。同年、自身が愛用しているカメラメーカー「ハッセルブラッド」のジャパン・ローカルアンバサダーに就任。YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」では映像と写真の監督兼撮影を担当する。
子供の頃から絵を描くことが好きで、高校ではグラフィックデザインやアートディレクションを学んでいたという長山さん。やがて写真という表現方法に出合うと、その感性はゆっくりと花開く。
スタジオ勤務後、写真の師である守本勝英氏のもとでクリエイションの現場を体験し、2007年に独立。以降、被写体の魅力を最大限に引き出すライティングを武器に、さまざまな媒体から数多の撮影依頼を受けるようになる。
そして30歳になる頃、初めて高級腕時計を購入した。
それが、1931年に誕生したジャガー・ルクルトの「レベルソ」オリジナルの精神を受け継いだ復刻モデルだ。
長山さん私物のレベルソは、1930年代のオリジナルよりもスリムな設計が特徴。袖口にも引っかかりにくい。
「何か1本、いい時計を買ってみようかなあ……みたいな気分だったと思うんですけど、この四角いフェイスに惹かれて即買いでしたね」。
当時、レベルソについてはあまり知らなかったというが、アール・デコ調のデザインや、文字盤に装飾がない潔さが好みと重なった。
「ラグジュアリーな時計かと思ったら、もとはスポーツ用の時計として開発された経緯も気に入りました。時計店の店主には、一本目の高級時計にこのモデルを選ぶのかと驚かれましたけど(笑)」。
「ケースが反転する機構やそのコンセプトは買うまで知らなかったのですが、そういうメカ的構造ってカメラにも通ずるものがある。男の物欲をくすぐる大切な要素ですよね」と長山さん。
そう言って長山さんが見せてくれた私物の「グランド・レベルソ・ウルトラスリム・トリビュート・トゥ・1931」は、ブラックフェイスにバーインデックス、周囲に配したレイルウェイなど、オリジナルの魅力が蘇る秀作。ケースサイズも縦46×横27mmと大き過ぎず、クラシックな装いとも相性のいい一本だ。
長山さんといえば、どんな現場にもスーツ姿で現れることで有名だが、この日の装いも、ヘリンボーンのオーダースーツとシャツ、ラルフ ローレンのタイ、オールデンの革靴と、一糸乱れぬ典雅な装い。色をまとめたブラウンのグラデーションは、ウェルドレッサーらしい粋な着こなしだ。
愛機はハッセルブラッドH6D-100c。一億画素の撮影が可能。
「本格的にスーツに夢中になったのは5〜6年前くらいから。完全に趣味でやっています。フォトグラファーという比較的アクティブな職業においては不便な時もあります(笑)」。
“不便”という言葉を口にしながらも、その笑顔からは今もスーツの世界に心底没頭している様子が伝わってくる。当然、装いの印象を左右する時計の選び方にも独自の美学が反映されているようだ。
2/3