4 men for JL Stories●スイスの名門、ジャガー・ルクルトの時計は、あらゆる男を虜にする。その魅力の源泉はどこにあるのか? スタイルを持つ4人のストーリーから紐解く。
第一回は「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」を率いる尾花大輔さんとジャガー・ルクルトの物語。ブランドの代表作「レベルソ」を手に話される、独自の時計愛。
ヴィンテージ時計にハマった際、「レベルソ」にも手を出した理由
尾花大輔●1974年生まれ。学生時代より古着店で経験を積んだ後、古着のセレクトショップや自身のショップをオープン。2001年にメンズブランド「N.ハリウッド」を立ち上げる。2010年からはニューヨークでコレクションを発表。昨年開催された東京オリンピックでは聖火ランナーのユニフォームデザイン監修を務めた。
ジャガー・ルクルトの歴史は、アントワーヌ・ルクルトが1833年にスイスのジュウ渓谷で設立したアトリエから始まる。創業当初から、デザインや部品の組み立て、装飾などに至る180種の技術を持つ職人たちが集まり、時計の心臓とも言われるムーブメントの全パーツを自社で生産する、世界でも数少ないマニュファクチュールだ。
同社が開発したムーブメントは1200を超え、そのクオリティの高さから多くの有名時計ブランドにムーブメントを提供。角形時計の永世定番「レベルソ」やクラシックな「マスター」など、アイコニックピースも多数輩出してきた。
デュオのコンセプトが採用された「レベルソ・クラシック・ラージ・デュオ・スモールセコンド」。裏面に便利な第二時間帯を備え、24時間表示によるデイ/ナイト表示が配される。K18PGケース、縦47×横28.3mm、手巻き。268万4000円/ジャガー・ルクルト 0120-79-1833
時計愛好家からも絶大な評価を受けるこの老舗ブランドの時計を、尾花さんはどう見ているのか。まずは自身の時計遍歴から聞いてみた。
「僕、そもそも古着屋でしょ? そうなるとワンセットでヴィンテージのロレックスってイメージがくっついてくるわけですよ、90年代初頭って。
でも、こだわった店員を気取りたかったから、そこにはいかず(笑)。ジーンズも、リーバイスのXX(ダブルエックス)は選ばず、あえてファクトリーブランドのマイナーなものをはいたりね。とにかくステレオタイプは嫌だった」。
よって、ヴィンテージ時計とは距離を置いていた尾花さんだったが、時計に詳しい人からの話で、毛嫌いしていたそれらが、自分が好きなミリタリーウェアなどと同じく、いわゆるスペックですべてが成立していることを知る。
そこからは一気にヴィンテージ熱が盛り上がり、狂ったように時計を買い漁った。
程良く小ぶりなケースサイズは、手首の細い尾花さんにもしっくり馴染む。
「昔から角形時計は好きなんですが、当時、クラシックなデザインに惹かれてジャガー・ルクルトの古いレベルソも手に入れましたよ、海外から取り寄せて。当時買ったヴィンテージウォッチは今でも手元に15〜16本くらい残ってます」。
もともと凝り性な尾花さんは、あえてコピー品の時計を購入して、本物とどのくらい違うか徹底的に研究したこともあったという。
ところがやがて、「これは俺がやらなくてもいいな」と思い始め、徐々にクールダウン。同時期に体のトレーニングを本格的に始めたこともあり、ヴィンテージ時計やドレスウォッチを着ける機会は減っていったという。
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