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ヨーロッパのオートキャンプブームに影響を受ける


——一般ユーザーに目を向けたのはいつ頃から?

敗戦直後の日本にキャンプを楽しむ余裕なんてありませんから、当分は国外向けの展開が続きました。’50年代のヨーロッパはオートキャンプブーム真っ只中。

当時の社長が現地視察した際、その盛り上がりを目の当たりにし、日本にも必ず熱波が来ると確信したそうです。そして、1961年に初の国内向け民生モデル「オーナーロッジ第1号」をリリースしました

オーナーロッジ 「ヨーロッパで主流だったロッジ型テントは、国内に流通していた三角テントよりはるかに高性能でした」。


——「オーナーロッジ第1号」の出来はどうでしたか?

欧州のスタンダードであったロッジ型テントを日本仕様にアレンジ。気候や風土に合わせた設計で、非常に画期的でしたね。フレーム構造も計算されており、とても強くしなやか。国内で一般的だった三角テントより、広さと安定性だって段違いに上。

ただ、カラーリングがものすごくポップでしたね。スキーウェアみたいな配色で、軍用のカーキやオリーブドラブばかり作っていた弊社にとって、相当冒険だったと思います。色以外は現在のogawaモデルと遜色ないスタイル、完成度でしたが。

オーナーロッジ 写真提供:キャンパルジャパン株式会社


————以来、ロゴにまで落とし込むほどロッジ型にこだわりを?

こだわり過ぎて固執するのはいけない。大事なのはメーカーのエゴではなく、キャンプする人が自宅のように安心して過ごせること。ですから、トンネル型やドーム型、カーサイドシェルターなど、弊社でもさまざまなモデルを提案しています。ただ、ロッジ型がカタログにないシーズンは、ogawaでは来ないでしょうね(笑)。

伊川さん ’80年代のogawaはキャンプ用品だけでなく、さまざまな方面で技術力を発揮していた。


 

——その後、どういったアクションを?

’80年代に入ると日本にも本格的なオートキャンプブームが到来します。我々は自社製品だけでなく、数多くのブランドのOEMまで担当。アウトドアカルチャー浸透の一助となれたのではないでしょうか。また、大阪万博をはじめ、さまざまなイベントでogawaのテントや技術が使われました。東京ドームの天井の内張りを手掛けたのも、当時の小川テントなんですよ。

——一方、’90年代は苦難の時代と聞きました。

そうですね。1996年が日本におけるキャンプブームの最盛期とされているのですが、この頃は軽量でロープライスなテントが乱発され、安価を武器にするブランドも登場。本格志向のogawaは価格競争に遅れをとり、かなり苦戦しました。それでも、コアなキャンパーには価格以上に高品質と評価いただけて……。

伊川さん 「ビギナーはまず安いテントから入り、徐々にランクを上げていくのが、かつてのセオリーでした。今では入門から良いものを手に入れ、しっかり長く使う傾向に」。


 

——最近のキャンプブームではどうでしょう?

以前のブームとは異なり、ビギナーでもハイプライスな本格アイテムを使うように。目が肥えたのでしょうね、質で判断するユーザーさんが増えたと思います。少なくともチープなテントを使い捨てするような、悪しきカルチャーは無くなりました。

テント テントを設営できるのが直営店の強み。知識豊かなスタッフによる丁寧なレクチャーもありがたい。


 

——コアなファンが多いと言われるogawaブランド。その分、ビギナーとの接点は少ないかもしれません。今後の展望をお聞かせください。

テントのような大物は、ネットで見てもサイズ感や使い勝手がイマイチ掴めません。ダイレクトに触れて魅力を実感してもらえる直営店「GRAND lodge」の運営に注力する予定です。現在は新木場、小平、柏の葉、高尾の4店舗。

他社より若干遅れをとった分、お客様と触れ合える機会を積極的に創出せねばと感じています。設営・撤収の面倒なイメージを覆すべく、レクチャーも丁寧に行いますよ!

 

【取材協力】
GRAND lodge SHINKIBA
住所:東京都江東区新木場1-12-19
電話番号:03-6457-0306
営業時間:平日10:00~19:00、土日祝9:00~18:00
定休日:火曜日、年末年始
連載「Camp Gear Note」
「コールマン編」はコチラ

 

平安名栄一=撮影 金井幸男=取材・文


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