車もファッションも、原則は「プラマイゼロ」
種市さんのところにはファッションだけでなく、車の相談もよくあるようだ。
「レンジローバーから乗り替えを考えている夫婦から相談があって、彼らはもう一台、古いフォルクスワーゲン・ヴァナゴンを持っているし、旦那は身長が高くて大型犬が二匹。だったら『トヨタのランクル80のノーマルで白とかを、サンダルみたいに使ったら?』と勧めました」。
ルーフキャリアやポップアップテントも含め、基本的には乗り出しの状態のまま使っているという。「サンダルみたいに自然体で乗っていたいので」。 ファンションはバランスが大事。アイテムを足したり引いたりしてプラスマイナスゼロにすることで、その人のキャラクターが浮かび上がるのが理想のスタイルと種市さん。「例えばレンジローバーに乗るなら、格好はハイファッションではなく、何気ない服を着てユルく乗っているのが、僕にとっては車を“着こなして”見える」と。
「自分に合わせた足し算引き算のバランスが重要。そのスタイルがその人に馴染んでる、モノにしているというのがカッコいいと思います」。
自分に馴染んだ、例えば普段履きのサンダルのように車を着こなす。……うん、わかるんだけど、やっぱり難しいっす。
「僕だって難しいです(笑) でもそういう身の丈に合った、ちゃんとモノにしている格好良さを目指したいですよね」。種市さんのスタイルのあるカーライフの“タネ”は、どうやらここにあるようだ。
種市さんが“サンダル”として履きこなすアウトランダーPHEV。思い立ったらフラッとどこまでも行ける。愛犬のトウフといつも一緒にいられる。 最近は、『タネさんらしくて似合ってますね』と言われることも増えたという。「今の僕には、アウトランダーというバランスがちょうど合っているんだと思います」。
確かに、目の前の種市さんは、アウトランダーPHEVを履き慣れたサンダルのように、しっかり自分のモノにしていた。

鳥居健次郎=写真 籠島康弘=取材・文