雨ジミが気になったら“追い水”で濡れムラを無くす
ちなみに、うっかり革靴が雨に濡れてしまい、雨ジミになりそうなときは、どう対処すればいいのだろうか。
「しっかり絞った濡れタオルで表面を拭き、わざとまんべんなく濡らしてあげるんです。雨ジミは、濡れたところと濡れていないところの境目が原因なので、境目を消して均一に濡らすイメージで」。
しかし革靴を濡らすなんて、初心者にとっては不安な行為……。失敗しないポイントは?
「濡らしたあとは、ソールにも風が抜けるよう壁に立てかけて、1〜2日ほどしっかりと乾かします。このとき、全体が均一に乾くようにしたいので、部分的に乾いているところと濡れているところの差がないように、濡れタオルで“追い水”をします。少しテクニックが必要ですが、やらなければシミになるので、思い切って挑戦してみてください」。
靴全体が完全に乾いたら、乳化性のクリームを指で塗り、ブラッシングを。水分とともに抜けてしまった油分を補ってあげましょう。
保管時は通気性を意識する
家中がジメジメとする梅雨時期は、保管方法にも注意を怠らない。
「通気性の悪い下駄箱や、直射日光があたる場所はNG。購入時に同封される布袋に革靴を入れて、風通しがよく、直射日光が当たらない場所に保管をしてください。あとは、シューツリーも入れたほうがいいですね。木製で生成りのものは、乾燥剤の役割も果たしてくれるのでオススメです」。
革靴の特性を理解し、正しいケアを行えば雨だって怖くない! むしろ、ピカピカの靴こそ、雨に強い! そう考えると、出番を控えていた梅雨時期もちょっと楽しく過ごせそうだ。
[お話を聞いた人]
明石 優茨城県出身。靴育て研究家、絵描き。2006年靴磨きを始める。シューズラウンジ「brift H」(ブリフト アッシュ)の立ち上げに参加。百貨店、一流アパレルブランドのイベントなど靴磨きパフォーマンスを経験。2011年独立。シューシャインイベントに出演など、さまざまな場所で日本には数少ない靴磨きの講師としても活躍。アーティストとしても活躍中。 Instagram:
www.instagram.com/akc_yu/ 平安名 栄一=撮影 長浜優奈(EditReal)=取材・文