今、にわかにブームがきている木彫り熊。ミッドセンチュリーからの文脈や、クラフトなどの民藝文脈から、じわりじわり。その流れを感じるエキシビションが8月10日(土)から、目黒のホテルクラスカ内「ギャラリー&ショップDO」で開催される。
そのキュレーターが、フリー編集者の安藤夏樹さん。「散財王におれはなる」が口癖
で時計に詳しいことでも知られる安藤さんがなぜ、木彫り熊の沼にハマっているのか?
その理由と魅力を聞こうと、まず「木彫り熊ってあの鮭をくわえた?」って質問したら、安藤さんからの返事に驚いた。
「鮭はくわえず、背負うもの」。
標語みたいにキャッチーなひと言に、こちらもググっと木彫り熊に引き込まれたところで、沼の深さを教えてもらった。
—いったい何体持ってるんですか? 木彫りグマ。 安藤 自分でもわからないんで、今回のエキシビションでそれを自覚しようと思ってます。だいたい100クマくらいかな〜。
—最初の出会いはいつなんでしょう。 安藤 5年くらい前ですね。とある骨董屋にあったのがすごくいい顔をしていて、「買いたい」と言ったのに譲ってくれなくて(笑)。でも、店主が、これは北海道の八雲って町で彫られたものだって教えてくれたんです。
—そのひと言が? 安藤 沼の始まり。当時は全然情報もなくて、1年弱くらい探していたら別の骨董屋で偶然、八雲の木彫り熊を見つけたんです。それを手に入れていろいろ調べていたら、八雲に木彫り熊の資料館ができたと知って、すぐに飛びました。
—スゴい行動力ですね。で、お客さんはいたんですか? 安藤 いや、ぜんぜん(笑)。僕らだけ。八雲では3泊4日の滞在だったんですが、町の人たちにいろんなことを教えてもらって。
突然ですけど……北海道の木彫り熊って誰きっかけで始まったか知ってます?
—地場産業的なものでしょうから、北海道の偉い人? 安藤 ブー。尾張徳川家なんです。
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