白Tシャツはどこまで違いが出る? 業界屈指の生地ヲタに聞く素材の重要性
されど、Tシャツ。●これまで何枚着てきたか、Tシャツ。服としては何よりシンプルなつくり、Tシャツ。理想の一枚に出会ったと思ってもすぐに次が欲しくなる、Tシャツ。されどで探す、今年いちばんの、Tシャツ。
肌へ直接触れるものだから、Tシャツは気持ちいい素材に限る。うん、異論なし。でも、パリッとした感触やコシの強さに魅力を感じるという意見もある。それももちろん間違いじゃない。
じゃ、正解はなんだ? 答えを教えてもらいに行ったのは、1シーズンで6〜7種の生地のTシャツを発表するブランド、エイトン。業界屈指の生地ヲタクと言われるディレクターの久﨑康晴さんを突撃した。
すべてを変える、手摘みの“人”手間
—Tシャツの基本といったら、やっぱり白Tですよね。 久﨑 はい。ただ、白Tといってもいろいろありますよね、素材、形、縫製……。
—実際のところ、それらでどのくらい差が出るものなんでしょう? 久﨑 こちらをご覧ください。
—こちらは? 久﨑 うち(エイトン)が出している定番の白Tです。
—3枚とも雰囲気が違いますね。ハリがあるものからトロッとしたものまで。 久﨑 これら3枚はどれも綿100%。でも、糸の撚り方、編み方、仕上げを変えることでこれだけ違いが出るんです。
—コットンの産地も同じですか? 久﨑 はい。どれもインド産のコットンを使っています。この間も現地へ行ってきましたよ。インドには最新の機械が入っていますからね、生地ヲタクにはタマリマセン(笑)。
—インドに最新が揃うとは、ちょっと意外。 久﨑 日本の技術者たちが、インドの気候、インド原綿の特性を含めて考え抜いた最新の機械が揃っているんです。ここで作る綿糸はおそらく、世界でいちばん優れていると思います。
—確かに、綿糸の状態でもう、ツヤツヤすべすべ。 久﨑 すべて手摘みしているからでしょうね。機械だと大量に安く刈り取れますが、金属ブラシをローリングさせるのでコットンが痛んでしまうんです。そのダメージはコーティングで隠すのが一般的なんですけど、着ていくうちにやはり、それが表に出てくる。例えば黒Tだと、何度も洗ううちに部分的に白っぽくなりませんか? あれはコーティングが剥がれているからなんです。
—つまり、人手間(ひとてま)が大切だということですね。 久﨑 そう! 何にもコーティングしてなくても、これだけのツヤが出るんです。それをうちのTシャツは、日本の職人さんに編んでもらっています。
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