「自分の人生がイマイチなのは“転機”がこないから。そう考えている人がいるんだったら転機なんて一生来ないよ、と言いたい」。
陽射しがじわじわと肌を刺しはじめた初夏のある日。天王洲アイル駅から直結のオフィスを訪れると、海外のホテルのような現実感のない内装に面食らってしまった。
「OWNDAYS(オンデーズ)」社長・田中修治さん(41歳)のインタビューは開始早々、冒頭の強烈なひと言でスタートし、再度面食らうことになってしまう。
アロマの香りが立ちこめる洒脱なオフィスで、いま最も注目を集めるメガネチェーンの社長は、スターバックスのドリンク片手にふらりと登場した。
『僕は、絶対に倒産すると言われたオンデーズの社長になった』 2018年9月の発売以来、そんなキャッチコピーとともにじわじわと話題を集め、5万部を突破した『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』(幻冬舎)は、田中社長自らが負債14億円を抱えていたOWNDAYSを、個人で買収し、再生するまでのストーリーを小説化したものだ。
田中社長の破天荒な手腕によって、一時は「絶対に倒産する」と言われた同社は見事に復活。現在12カ国310舗以上を展開し(2019年7月末)、19年2月の段階で売上高は180億円と一大メガネチェーンに成長した。
倒産確実と言われた会社を再生するまで
2008年、OWNDAYSの買収に乗り出す以前は、都内で小さなデザイン企画会社の経営をしていた田中さん。若干30歳の若手社長が、ひょんなことからメガネの低価格チェーン店であるOWNDAYSの創業者を紹介されることから、「再生物語」はスタートする。
負債14億円を抱え、破産寸前の状態に陥っていたOWNDAYSは「民事再生」か「売却撤退」か迫られている状況。しかし、そんな会社に可能性を感じて田中さんは個人買収を決める。
『それに俺自身も、30歳を迎えるにあたって、経営者として、この辺でひと勝負かけたいという気持ちも強くあるんだよね。でも俺みたいに、会社も小さくて資金も信用もない若い経営者が、大きなチャンスを掴むためには皆が嫌がるような案件、ちょうどこのオンデーズみたいな、燃え盛る火のなかに自ら進んで手を突っ込んでいくようなことでもしないと、なかなかそんなチャンスは掴めないでしょう?』
(『破天荒フェニックス』P.10より)
30代にして自ら崖っぷちのメガネ企業を買収し、メガネ屋としての知識も持たないままに会社の代表となった田中さんだが、シンプルな価格設定を武器にするOWNDAYSに「ただ安い」だけではなく、ブランド力の高い価値ある商品を提案。「メガネ業界のZARA」を目指して、躍進し続けた。
その桁違いの“破天荒っぷり”と見事な再生ストーリーの詳細は同書で追ってもらうとして、そもそも田中さんとは、どんな人物なのだろうか。
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