汗だくな日、仕事のシャツの下に着る肌着のベストを探求
働く男の夏対策●これからの季節、働く男にとって強敵なのが、毎日上昇していく不快指数。体のジメジメも、ときには人間関係のジメジメも御免被りたい貴方のために、夏の仕事をサラサラにするアレコレを紹介する。
ビジネススタイルに欠かせないドレスシャツ。多くのビジネスマンは、ウィークデイのほとんどで袖を通すものだ。
そんなドレスシャツは、「下着とみなして素肌に直接着るべき」と昔からよく言われるけれど、外を歩くだけで汗まみれになってしまう日本の真夏に、それを実践するのは酷な話。
だからといっていつもの無地Tを着て、汗ばんだシャツの下に透けて見えるのも避けたい。ではどうすべきか?
そんな悩める貴方の疑問を、ビジネススタイルを熟知するエキスパート、山本晃弘さんにぶつけて聞いてみた。
Q.「真夏のシャツの下に着る、最適なTシャツってなんですか?」
——ビジネススタイルで悩ましいのは、シャツのインナーをどうすべきかということなのですが。 山本 そうですね。自分もドレスシャツの下には何も着ないのが常識だと、かつては言っていました。でも2009年に、ある読者から「シャツが汗でビショビショになった状態では、他者に好印象を抱かせることはできない」と、指摘されたんですね。そこで考えを改めました。
——では、端的に言えば、ビジネスでもシャツの下に下着を着ることはOKということですね。 山本 OKです。それで自分もそれを満たすインナーを探したのですが、行き着いた結論が、ベージュの深いUネックかVネック、しかもシームレスの下着なんです。
——今では、そういったインナーも割とよくありますね。 山本 そうなんです。今では普通の提案なのですが、自分が雑誌で提唱した当時は、多くの非難を浴びましたよ。スタイリッシュな男がやることではないと(笑)。
例えば……「シーク」のインナー 例えば……「ユニクロ」のインナー ——では、「ベージュの深いUネックかVネック、そしてシームレス」という結論に至った理由は、何なのでしょう? 山本 まずは、ノータイでシャツの襟元のボタンを開けたときに、下着を着ていることがわからないこと。そうなると、インナーのネックは深くなければいけません。
そして、縫い目や凹凸が上に着るシャツに響いたりしないためにはシームレスでなければならない。さらに、白シャツを着ても外からまったく透けないということで、色はベージュがベストなんです。
——なるほど。「襟元から見えず、透けない」ために必要なのが、先ほどの条件なんですね。 山本 そうです。実は、そういうインナーを有効活用することは、女性は以前からやっていたことです。今では、メンズでもそういったインナーが売れ筋になっています。暑い夏には、特に買い求める人が多いですね。ビジネススタイルも時代とともに変化しているということです。
[話を聞いた人] 山本晃弘(やまもと てるひろ)さんいくつものメンズ雑誌の編集を経て、2008年に編集長としてアエラスタイルマガジンを創刊。2019年に独立し、自身の会社”ヤマモトカンパニー”で活動しながら、同誌のエグゼクティブエディター兼 WEB編集長も務める。着こなしルールやビジネスマナーはもちろん、服飾史にも精通したご意見番。
https://asm.asahi.com 高橋絵里奈=写真 長谷川茂雄=編集・文