スニーカー通勤向けの一足は「スニーカーらしくない」で間違いない
働く男の夏対策●これからの季節、働く男にとって強敵なのが、毎日上昇していく不快指数。体のジメジメも、ときには人間関係のジメジメも御免被りたい貴方のために、夏の仕事をサラサラにするアレコレを紹介する。
いま、スニーカー通勤を推奨する企業が増えている。我々からすりゃ、それはありがたい話だ。とはいえ、突然明日から「スニーカーでどうぞ」と言われても、ちょっと困惑する。
いつものビジネススタイルに似合うスニーカーってどんなものなのか。選びの基準はあるのだろうか。
悩める皆さんの疑問を、ビジネススタイルを熟知するエキスパート、山本晃弘さんにぶつけて聞いてみた。
Q.「ビジネススタイルにはどんなスニーカーが合うのでしょうか?」
——最近、スニーカー通勤を認める会社が多いですが、ビジネススタイルに合うスニーカーとは、どんなものなのでしょうか? 山本 勘違いをされている方が多いのですが、
、実は真っ白なスニーカーは、スーツやスラックスなど、ビジネススタイルと合わせて履きこなすのがもっとも難しいんですよ。
——シンプルでクリーンなコート系の白スニーカーは、ビジネススタイルに合うような気がしますが。 山本 いや、そういったスニーカーがいちばん難しいと思ったほうがいいです。確かに、ファッショナブルではありますが、ビジネスで履きこなすにはテクニックが求められます。
普段着ているビジネススタイルにそのまま合わせても、必ずしもマッチするとは言えません。むしろ足元だけが白いと目立ってしまって、バランスが取れないんですよ。
——なるほど。じゃあ、どんなポイントで選ぶのがいいのでしょうか? 山本 選ぶときのポイントは、それほど難しくはありません。普段、ビジネススタイルに履いている革靴に似た顔を持つデザインのスニーカーを履けばいいのです。色は真っ白ではなく、ネイビーやブラウン、グレーといったビジネススタイルの定番色と同系色のものを選べば問題ありません。
——いわゆる“革靴顔”のスニーカーということですね。 山本 そういうことです。見た目は革靴で、履き心地はスニーカー、そういう1足があればとても重宝します。ただ、ソールが白になるだけでも着こなしの難易度が上がりますから、そこは注意したほうがいいです。ご自分のビジネススタイルをイメージしながら、スニーカーを選んでください。
例えば……「コール ハーン」のスニーカー 例えば……「エコー」のスニーカー ——スニーカーというと、どうしてもスポーティなデザインを連想しますが、こういうスニーカーなら確かに悩まずにスーツに合わせられそうですね。 山本 スニーカー通勤だからといって「スポーツシューズを選ぼう」と思うから、途端にハードルが高く感じるんですよ。いきなりスポーツブランドのハイテクなスニーカーを合わせようと思っても、相性が良くないぞ、となってしまう。
——スーツに合わせる靴は、フォーマルなドレスシューズか、動きやすいスポーツシューズの2択ではないということですね。 山本 そうです。両者のいいとこ取りをした、いい塩梅のスニーカー。そういうスニーカーって結構あるんですよ。
[話を聞いた人] 山本晃弘(やまもと てるひろ)さんいくつものメンズ雑誌の編集を経て、2008年に編集長としてアエラスタイルマガジンを創刊。2019年に独立し、自身の会社”ヤマモトカンパニー”で活動しながら、同誌のエグゼクティブエディター兼 WEB編集長も務める。着こなしルールやビジネスマナーはもちろん、服飾史にも精通したご意見番。
https://asm.asahi.com 高橋絵里奈=写真 長谷川茂雄=編集・文