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⑤村岡総本舗(むらおかそうほんぽ)




ラストはここ。「小城にこの店あり!」「羊羹好きなら知らない人はいない」というほどの名店「村岡総本舗」だ。江戸時代から続く伝統的な製法を守り続ける、大御所でありながら硬派な羊羹店である。

1本1620円/村岡総本舗 0952-72-2131


この時季は水羊羹ももちろん美味いのだが、実は桜の名所でもある小城にちなんで生まれた「櫻羊羹」がイチオシ。備中産白小豆を使い、その小豆の風味は濃厚。絹のように繊細でやわらかい味わいが人気で、実際に桜が使われているわけではないが見た目にも綺麗で気分もアガる。

村岡総本舗
佐賀県小城市小城町861
0952-72-2131


いやぁ、大満足。羊羹を食べ比べてみるとそれぞれの個性もわかるし、こんなに楽しい食べ物だなんて知らなかったからビックリだ。

ところで……

 

そもそもなぜ小城は羊羹の街になったのか?


それにしてもなぜこの街にはこんなにも羊羹屋があるのだろうか。

江戸時代の鎖国のもと、海外との唯一の窓口となっていた長崎、出島。そこから佐賀を通って福岡の小倉までを結んだルートが旧長崎街道、別名「シュガーロード」である。つまり、当時貴重だった砂糖が手に入りやすい「シュガーロード」沿線では、カステラや金平糖のような、砂糖をふんだんに使った名産品が生まれやすかったのだ。

そして「シュガーロード」沿線で商人が泊まれる宿場のあった小城も、砂糖や製菓の技術を手に入れやすかった。そして良質な水があり、小豆の大量生産もおこなっていたことから羊羹のメッカへと発展。今も日本一の羊羹街として栄えている。

ちなみに、小城の市街地から車で15分ほど、良質な水を供給しつづける清水川の上流「清水の滝」エリアは、鯉料理で知られる名所。羊羹を味わいつつ、絶品の鯉のあらいで涼をとる。こんな旅、最高じゃない?

 

谷澤修太朗=文 取材協力=小城羊羹協同組合

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