居酒屋バイトの経験が長いキャロさんは、こんなことを言う。
「料理に合うお酒や美味しい食べ方は社長が全部教えてくれます。さらに、調理場の2人の技術がすごいから、自信を持ってお客さんに提供できるんですよ。そう感じたお店は、ここが初めて」
プロ意識に頭が下がる。確かによく見ていると「メヒカリの塩焼きは頭から召し上がってくださいね」などと食べ方のガイドまでしていた。
「学生時代にラグビーをやっていたからがっしり体型です。A型看板のでっかいとうもろこしのイラストは社長作。私はメニューのあちこちに絵を描いています」
なるほど、アルファベットのAの形をしているからA型看板というのか。そんな石塚さんによるキャロさん評は「とにかく働き者。お客さんへの気配りも完璧」。
ちなみに、店名の「伊賀屋」は社長の実家が営んでいた布団店の屋号。ロゴもそのままもらってオープンしたそうだ。
箸置きは社長の奥さんが手作りしたもの。
ホッと落ち着けるアットホームな雰囲気は、こうした部分からも生まれるのだろう。
「伊賀屋」、お酒も料理も、そしてスタッフも素晴らしい。やはり名店でした。
後ろのテーブルでは福島出身らしき女性が福島弁クイズを出している。「お腹がいっぱい」は「腹くっちぃ」と言うらしい。
こちらも腹くっちぃである。そろそろお会計をしよう。
店を出るときに「美味しかった? また会えるといいですね」と囁かれた。そんなキャロさんから読者へのメッセージです。
【取材協力】伊賀屋住所:東京都千代田区神田三崎町2-12-8 US水道橋ビル 1F電話:03-3261-3158 >連載「看板娘という名の愉悦」をもっと読む 石原たきび=取材・文