テキーラで夏の初体験●もしもあなたが、テキーラを罰ゲームの酒だと思っていたらまだまだ若輩。テキーラは世界を夢中にする今いちばんHOTな酒なのだ。多くの日本人が知らないテキーラのディープな魅力。クッとアツい酒の初体験をテキーラで!
六本木にある世界最大級のテキーラバー「AGAVE(アガヴェ)」を訪問し、バーテンダーの佐々木さんにその魅力を教わった。さて、知識も増えてきたことだし、そろそろエンジンをかけて飲んでいかなければ……。
ということで佐々木さん、素人でも美味しく飲めるプレミアムテキーラを3銘柄ほど教えていただけますか?
「かしこまりました」。
佐々木宗彦さん 「アガヴェ」のマネージャー兼バーテンダー。テキーラに魅せられて20年余り。現地の蒸留所やバーを訪れるなど、テキーラに関する博覧強記ぶりは業界でも知られている。テキーラカクテルのレシピは本場メキシコ仕込みで絶品。趣味は愛車のハーレーダヴィッドソンでのツーリング。 |
佐々木さんイチオシのテキーラ①
深い香りとコク、そして複雑な風味「エラドゥーラ」
「プラミアムテキーラを語るうえで、絶対に外せない銘柄が『エラドゥーラ』です。創業は19世紀半ばで、テキーラ蒸留所のなかでも、もっとも古い伝統を持つ蒸留所のひとつ。イチオシは『エラドゥーラ レポサド』。アガベ100%、それも10年かけて栽培された高い糖度のアガベを使用したプレミアムな一本です」。
メキシコで幸運のシンボルとされる「馬蹄(スペイン語でエラドゥーラ)」がデザインされたボトルも威厳があってカッコいい。さっそくストレートで味わってみる。うーん、これが熟成されたアガベの甘い香りなのね。
それにフレッシュなボタニカルのような香りとシナモンのようなスパイシーな芳香が口の中に広がるような気が……。
「その通りです。テキーラの『レポサド』という種類は2ヶ月~1年未満の熟成が義務付けられていますが、これはアメリカンホワイトオークの樽で11カ月もの間熟成されているんです。木の香りとスパイシーさはその賜物ですね」。
ノーマルとの違いがはっきりわかる、プレミアムテキーラ特有の深い香りとコク。ぜひ一度ストレートで飲んでみてほしい。
佐々木さんイチオシのテキーラ②
すっきり滑らかな口当たり「オレンダイン」
次にカウンターに出されたボトルは「オレンダイン オリータス レポサド」。
「日本での知名度は高くありませんが、メキシコでは定番中の定番といえる銘柄ですね。蒸留所の創業も1926年という老舗で、世界中で長く愛されてきたテキーラのひとつです」。
味わいはすっきり甘く、飲みやすい。
「一般的に流通しているテキーラはアルコール度数が38~40度ほどですが、このオリータスはアルコール度数が35度とやや低め。そのため、すっきりとした飲み口に仕上がっています」。
滑らかな口当たりなのに、アガベの風味や香りはしっかり。そしてかすかな土の風味やスパイシーさも感じられる。飲みやすさはこれが一番。テキーラを飲みなれないビギナーには打ってつけの一本だ。
佐々木さんイチオシのテキーラ③
フルーティな甘みで女性ウケも抜群! 「カサドレス ブランコ」
3本目はボトルに描かれた雄々しい鹿のイラストが印象的な「カサドレス ブランコ」。
「メキシコ・ハリスコ州のバジェスとロスアルトスはテキーラの2大産地です。先ほど紹介したエラドゥーラとオレンダインはバジェスの産ですが、このカサドレスはロスアルトス産です。プレミアムテキーラもワインや日本酒のように産地によって味の違いがあるんです」。
ううむ、たしかにさっきの2本よりも、アガベの甘みがしっかり感じられる気がする。土やスパイス香はやや控えめか。
「一般的にバジェス産は辛みや苦みのきいた重厚な味わいテキーラが多く、ロスアルトス産は甘みの強いスムーズな口当たりのものが多いといわれています」。
たしかにクセがない。辛みや苦みが少ないクリアなテイスト。にもかかわらず、アガベのフルーティな甘みや香りは十分感じられる。うむ、テキーラのビギナーはもちろん、女性にとっても飲みやすいだろう。
同じプレミアムテキーラでも、銘柄や産地でこれほどの違いがあるのには驚いた。まずはこの個性豊かな3銘柄を味わってほしい。
そしてストレートでテキーラを味わったあとは、さらなる未開の地へ。「締めにカクテルはいかがでしょう? テキーラを使ったおなじみのカクテルでも、いいテキーラを使うと味ががらりと変わります」。
ということで、次はプレミアムテキーラを使った絶品カクテルを紹介しよう。
次回へ続く。
[取材協力] 「AGAVE(アガヴェ)」 住所:東京都港区六本木7-18-11 DMビル B1F 電話:03-3497-0229 営業:18:30~25:30LO(金、土曜27:30LO) 日・月曜、祝日定休 押条良太(押条事務所)=取材・文