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「彼らも苦しいのだ」とわかれば嫉妬は消える


「彼らも苦しいのだ」。こんな風に考えれば、出世競争に勝ち抜いて、自分より遥か先に見えていた彼や彼女の苦悩も見えてきませんか。理性の目を持ってすれば、どこまで登っても上には上がいて終わりがない競争であることがわかっていながら、半ば強迫的に「午前」の人たちと同じような感覚でいつまでも「自分、自分」で生きていくこともまた地獄であるということを。

結局、我々は最終的には同じ穴に入っていくのです。どこかで次の世代にバトンタッチをしていかなくてはならないのです。それを理解して、おおらかな気持ちになって、後進の若者たちに優しくなれると、自分自身が生きやすくなっていくのではないかと思います。

ギリギリまで煩悩にまみれて苦しみながら生きる


などと言いながら、私自身は残念ながら悟りを開けているわけではありません。むしろ煩悩から解脱するには程遠く、上述したことはまさに今取り組んでいる最中のことです。

40代というのはある意味中途半端で「午後になりきれない」から苦しいのでしょう。ですから、読者の皆様にも早く悟りを開いてほしいなどとは思っていませんし、言う資格もありません。むしろ、ギリギリまで苦しみながら頑張って、できるところまで行ってみませんかと思います。

ただ、真っ暗闇の中で頑張るのは苦しすぎるので、いざとなれば本稿で述べてきたような「前向きに降りる」道もあるのだと考えることが心のセーフティネットになればと願っています。やるだけやったら、ダメでも涼やかに生きられるのではないかと。

曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。



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