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対策その1
「人と比べることを止める」


焦燥感や虚無感の大抵の原因は他人との比較です。特に自分が捨ててきたものを実現している人を見ると「これで良かったのか」という想いが募ります。真面目に生きてきた人は遊び人に、独身貴族は所帯持ちに、仕事中毒の人は趣味人に。

その人たちに激しい怒りや嫉妬の感情すら覚えることでしょう。もちろんそれは不合理な感情ですから表現もできず、内に抱えたまま悶々と日々を過ごすことになります。こんな不健康なことはありません。まずはそういう人と自分を比べることをできるだけ止めてみる、見ないようにしてみてください。




対策その2
「捨てたものと向き合う」


そうは言っても、そういう人が職場の上司やお客様などであれば、顔を合わさないわけにもいきません。そこで次にお勧めするのは、どうせ見なければならないなら、ちゃんと対峙してみることです。

真面目一辺倒で暮らしてきた人なら遊び人に教えを乞うて、夜の街での遊びを体験してみる。別にはまる必要はありません。食わず嫌いをせず、今さらどうせと言わずに、一度やってみるだけでいいのです。

もともと持っていない人は持てる人に怒りや羨望を抱いても、自分からそれを捨てた人はそんな気持ちにはなりません。一度やってみて「なんだこんなものか」と思えたらしめたものです。再び元の自分に戻ったとしても、変な嫉妬に苛まれることはなく、徐々に気持ちは軽やかになるでしょう。




対策その3
「人を育てることに情熱を注いでみる」


それでも邪念が消えない方は、自然にかわいいと思える後輩や部下を見つけて、その人を育てることに一生懸命になってはどうでしょうか。アイデンティティの提唱者E.H.エリクソンによれば、我々世代における発達課題を“Generativity”(「世代性」「生殖性」と訳される造語)であるとしました。

要は、自分ばかりに目を向ける自意識過剰な状態から逃れ、もっと次の世代を育てていくことに関心を向けていくということです。自分だけが自分だと思っていれば、待っているのは死、終結だから焦るのです。

しかし、後進に目を向けてそこに自己同一化する(後進の喜びを自分の喜びとする)ことができれば、人は永遠の命を得るような気持ちにすらなれ、心は落ち着きを取り戻すのではないでしょうか。






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