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結局「ヴィンテージには勝てない」のか?


ーー製品の作りなどについて注意すべき点はありますか?

岡田 私の店で扱っているヴィンテージには製品保証がついていますので、あまり心配する必要はありません。古着店や蚤の市などで買うときは基本的に自己責任。負担の大きいヨロイ(フロントとテンプルの接合部)にガタがきているものは避けたほうがいいかもしれません。でも「それでもいい」と買う人もいるわけですから、結局個人の好みになってしまいますよね。

髙木 それよりも、ヴィンテージを知らない人にとっては「本当にこの値段は適正なのか?」という疑問があるかもしれません。決して安いものではないですし。ザ・スペクタクルを買おうと最初に思ったのは、コンディションが非常に良かったからなんです。確かに1点モノですけど、いろいろなタイプが選べますし、きれいにクリーニングされていますし。

岡田 金張りのアイウェアは、やはり現代のものよりもクオリティが高いと思います。プラスチックフレームも、古いものは油分を多く含んだ可塑剤(合成樹脂に加えて柔軟性を向上させる添加薬品)が入っているので耐久性があります。今のものに比べて多少重量感がありますが、その質感が好きだという方も多い。それと、今はNC加工機で滑らかに作るのですが。昔はセルの一枚板を金型で打ち抜いていたんです。もちろん最後に磨きますが“角が立っている”(と、’50〜’60年代のフランス製フレームを見せながら)んですよね。

“角の立った”プラスチックフレーム /グローブスペックス 4万5000円/レスカ・ルネティエ(グローブスペックス エージェント 03-5459-8326)


“角の立った”プラスチックフレーム
’50〜’60年代のサングラス。フランス・ジュラ地方で作られたクラウンパントと呼ばれるクラシックなフレーム型。


髙木 “角が立っている”という表現はよくわかります。今、市場ではフレンチフレームが熱いんですよね。セルの厚さでレア度が変わってきますが……。店によっては40万円、50万円という値段がついています。

岡田 同じ年代でも、アメリカのものは逆にヌメっとしています。とことん磨いて角をなくしているという。

髙木 一見チープでおもちゃっぽいですよね。でもそれが逆にいい。


アメリカン・オプティカルの「サラトガ」というモデル。/グローブスペックス 7万6000円/ザ・スペクタクル(グローブスペックス ストア 03-5459-8377)


独特の質感が魅力のアメリカ産ヴィンテージ
アメリカン・オプティカルの「サラトガ」というモデル。丁寧な磨き仕上げによって得られた、ヌメっとした質感が特徴だ。


ーー再びマニアックになってきましたが(笑)、ヴィンテージアイウェアの魅力をまとめると、素材がいい、作りがいい、モノにストーリーがある、というところでしょうか。

髙木 車も家具も、古いモノって価値が下がらない。売るわけではないんですが、ある意味投資になるというか。買ったときがピークではなく10年後に値段が上がっている。今、現代の服を作っている僕としては悔しいんですよ。結局「ヴィンテージには勝てない」ですから。

岡田 男性が身に着けることのできる数少ない“ジュエリー”とも言えますね。基本的に実用のものだから、奥さまにも怒られないし(笑)。



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