ヴィンテージ好きがよろこぶストーリー
ーーそもそも「ヴィンテージアイウェア」とは、どのあたりの年代のものを指すのでしょうか。
岡田 メガネの世界では’50年代以前のものを「アンティーク」と呼んでいます。古いもので、’10年代。それ以降の’50〜’70年代、最近では’80年代くらいまでが「ヴィンテージ」です。
アンティークらしいレトロな丸メガネフランス、ベルギー、オランダで作られたメガネはこんなラウンドが多い。こちらは1950年代のフランス製。
髙木 やっぱり古いものほどリペアが必要なんですか?
岡田 いや、そうとも限りません。僕が今掛けているのは’20年代のものですが、ほぼ当時のままです。丁寧に金張りが施されていますから地金の腐食や劣化もない。100年くらいは使えそうですね(笑)。
ーー’20年代以降は、ヴィンテージアイウェアにどんな変化が起きたのでしょうか。
岡田 例えば’40年代の米軍のパイロット用サングラスは、ねじれを防ぐためにダブルブリッジになっています。これが’50年代以降「格好いい」ということで、さまざまなメーカーが一般向けに作り始めたんです。
’40年代のパイロット用はダブルブリッジの走り「アメリカン・オプティカル」が米軍に納入していたパイロット用サングラス。フレームはホワイトゴールド張りという贅沢な仕様。
髙木 ダブルブリッジは剛性を高めるためのディテールだったのか……。
岡田 それまではシングルブリッジだけだったんですよ。
髙木 もともとあらゆる分野のヴィンテージが好きですから、こういうお話は大好物です。
ーーまったく話は尽きないわけですが、ヴィンテージが持つ“歴史”以外の部分の魅力とは何でしょうか。
髙木 やはり「1点モノ」というのが圧倒的かなと思っています。選ぶ基準は、掛けてみて自分に合うもの。気が付くと同じようなものばかりを買っていますね(笑)。
岡田 結局選び方も普通のメガネと変わらないんです。古いからといって掛け心地に難があるわけでもない。顔の幅や鼻の高さに合わせて、テンプルもノーズパッドも調整できます。
髙木 そう、調整してもらえるからほとんど不自由を感じないんです。「ヴィンテージアイウェアはサイズが小さいから似合わない」と思っている方も、“掛けず嫌い”せず、ぜひ一度試してほしいですね。
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