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2019.07.08

ファッション

ヴィンテージアイウェアの魅力は歴史? 稀少価値? それとも……

ヴィンテージのクルマやデニムが好きだったら、きっと「ヴィンテージアイウェア」も好きになると思う。いったいどんな魅力があるのか。どんなモノを選べばいいのか。ふたりの好事家の話に耳を傾けてみたい。

ヴィンテージアイウェアについて語ってくれた人




「グローブスペックス」代表
岡田哲哉さん(59歳)

日本を代表する、そして世界中のメガネファンが注目するショップ「グローブスペックス」。その代表を務める岡田さんはあらゆる国のアイウェアに精通する“達人”である。

 

 



「オールド ジョー」デザイナー
髙木雄介さん(40歳)
「オールド ジョー」は、さまざまな国、年代のデザインからヒントを得て“現代のヴィンテージ服”を作り出すブランドだ。個人的にはプロダクト全般において’30年代が好み。

 

 


古くなったとしてもその価値は下がらない。


ーー髙木さんがヴィンテージアイウェアに目覚めるきっかけが「グローブスペックス」だったとか。

髙木 10年以上前になると思いますが、グローブスペックス渋谷店でザ・スペクタクルのフレームを見たとき、その状態の良さに衝撃を受けました。

岡田 ザ・スペクタクルはアメリカのブランド。ここが特殊なのは、1920〜’70年代のあらゆるヴィンテージフレームを集めて、いったんパーツごとにバラし、注文が入ったら組み上げて製品にするという点。膨大な量のストックがあるんです。


イエローゴールド貼りの繊細で優美なフレーム/ザ・スペクタクル 10万9000円/ザ・スペクタクル(グローブスペックス ストア 03-5459-8377)


テンプルの位置を上げて視界を広げた画期的設計
イエローゴールド貼りの繊細で優美なフレーム。1930年代後半のボシュロムもの。これ以前のものは、テンプルの位置はもっと下に設定されていた。


髙木 イエローゴールドやホワイトゴールド張りの細いフレームに緻密なフィリグリー(彫金)が施されていて本当に美しい。それ以来グローブスペックスに通うようになって、今ではザ・スペクタクルだけで5本持っています。

岡田 メガネの世界に「彫金のフレーム」が多く見られるようになったのは’20年代以降のこと。これは世界恐慌の影響です。職を失ったジュエリーの彫金職人たちがメガネ業界に参入して、装飾的な美しいフレームを作り始めたんです。それ以前のフレームは実用本位で、装飾はほとんど見られませんから。

ーーマニアックな話のようですが、ヴィンテージの世界に足を踏み入れると、モノが作られた時代“込み”で魅力になってきますよね。

岡田 車にしてもデニムにしても、そういうデザインとなった理由、その素材を使った理由というのは、多かれ少なかれ生産当時の社会の状況と必ず関係しています。だからヴィンテージを語ると話が長くなってしまうんです(笑)。

髙木 でも、すごくわかりまね。例えばアメリカでは、’30年代に優れたモノが生まれています。服もインテリアも、プロダクト全般について言えると思います。第二次世界大戦前の、いちばんいい時代ですね。



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