サラリーマン人生を変えた、上司のある言葉
目立ちたがりの学生だった。高校の文化祭では友人と組んで、コントを披露するなど前に出ることが好きだったという。誰かを笑わせたいというサービス精神、その片鱗は取材時の茶目っ気のある受け答えからも感じ取れた。
「高校生の頃は目立とうとして前に出て盛大にスベるタイプでしたね。大学でも空回りしてました(笑)」。
新卒で、大手の通信会社に入社。当時は就職氷河期の真っ只中だった。大橋さんも御多分に洩れず就活には苦戦したが、その末に勝ち取ったのは当時の就職ランキングで上位の大企業だった。
「これでもう人生ゴールだな、と。このままこの会社にいれば問題ないんだと最初は安心しきっていました。でも僕、入社してからずっとダメダメなサラリーマンだったんです」。
最初は営業、その後に広報部に異動しウェブサイトの運営などを行なっていた大橋さん。しかし13年間、一度も昇進することはなかったという。
「仕事がびっくりするぐらい上手くいかなくて、あまり面白さを感じませんでした。会議室でパワポの資料を見せられたり上司の話を聞いていたりすると、すぐ眠くなってしまうんですよ。そのわりに『俺がCM作れば面白いもの作れる』とか周りに言っちゃうような痛い会社員でした(笑)」。
そんな20代後半の大橋さんにある先輩社員がこんな言葉をかけた。
『大橋くん、会社というのは自分の好きなことをする場所じゃないんだよ』と。
「『会社は自分の夢を叶える場所』と思っていた僕に、言いづらいことを言ってくれたその先輩には本当に感謝しています」。
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