なお、看板娘の常として瑶香さんもスタッフから愛されている。昨年の誕生日には、店長から口紅のプレゼント。今日もその口紅を塗って出勤した。
店長の田部井さん(27歳)。「ハルちゃんのいいところですか? 明るいし、お客さんともすぐに仲良くなりますね。あと、食いしん坊(笑)」
田部井さんは阿佐ヶ谷の「3349」という美容室に通っているが、壁のアーティスティックな時計はそこのアシスタントの作品。店で個展を開いた際に展示されていたものを2万1000円で購入したそうだ。
火事跡から出土した風の時計だが、針はちゃんと動く。ここで、なんと瑶香さんのお母さんが来店した。
お母さんとオーナーの針谷さん(45歳)に挟まれる看板娘。瑶香さんはどんなお子さんでしたか?
「変な子でした。小さい頃は『パパとママがかわいそうだからお嫁に行かない』と言っていましたが、小2のときに突然『やっぱり結婚する』と宣言。理由を聞くと『ひとりで死にたくないから』(笑)。小学生の思考じゃないですよね」
お母さんは宇野亜喜良の大ファン。彼女が飲んでいるのはレモンサワー。よし、じゃあお代わりはレモンサワーで。
ホッピー方式でナカを追加注文するスタイル。「まあ、でも自慢の娘ですよ。大人と同様に接して、スケべなことも聞かれたら答えていました。今でも夫婦は同じ布団で寝ていますが、たまにこの子も入ってきます。子はカスガイですよね」
「カスガイ?」と瑶香さん。スマホの漢字変換で出てきた。鎹は2つの材木をつなぎとめるために打ち込むコの字型の釘ですね。
子供は夫婦の間をつなぎとめる働きをする。オーナーの針谷さんに店名の由来も教えてもらった。
「独立して最初の一歩という意味と、あと漫画の『はじめの一歩』が大好きで。全124巻、全部持っています(笑)」
いい感じに酔ってきた。そういえば瑶香さん、高校卒業後はどうするんですか?
「オーストラリア留学の試験を受けていて、合格すればアデレードに10カ月間留学します。英語力をもっと身に付けたいので。ダメだったら大学受験ですかね」
仲良し母娘の話は尽きない。やがて、バイトを上がる時間になった瑶香さんはお母さんとともに店を出る。二人はひとつの傘の下で身を寄せ合いながら帰路に就いた。
美しい絵柄。読者へのメッセージも書いてもらいましたよ。
すべての文末に「!」のキラーパスをキメる看板娘。【取材協力】やきとん いっぽ住所:東京都杉並区高円寺南4-7-13 第二久万乃ビル電話:03-3316-3557石原たきび=取材・文