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子供の言葉を鵜呑みにしない


そもそも、イヤイヤ期の本質は、子供の自我の発達に起因する。覚え立ての「イヤっ」という言葉を使って自分の感情を表現したり、その言葉による周囲の反応を確認することで、子供なりの自我を強化していくのである。

そのため、単に面白がって「イヤっ」と言ってみたり、自分の好きなことでも気分によっては「イヤっ」と拒否したりすることもある。また、自我の発達は「何でも自分でやりたい」モードが強くなるため、ママやパパから口出しされること自体に反抗することにもなる。つまり、子供の「イヤっ」という言葉の裏には、気分や別の意志などが込められている。一つひとつの「イヤっ」に対してその真意を探りながら対応していかないと、誤解やコミュニケーション不全を起こしてしまうのだ。

「そんなことは、分かっている」

というオトーチャンズもいるだろう。本当にそうだろうか? 子供だけでなく、大人も「感情の生き物」である。「イヤっ」という強い言葉をぶつけられたり、こちらの思い通りにことが進まないとき、誰だってイライラする。頭では解っていても、局面局面では感情的になり、子供に対してきつい言葉を返したり、あるいは無視したりする行為をしてしまいがちだ。

この「子供の言葉の真意を探る」というのは、イヤイヤ期だけでなく小学生になっても親にとって常に心がけておかなければならない振る舞いだ。言葉というのは便利なようで怖いツールである。ある言葉にこめた意味や意図が、相手に正しく伝わっていなかった、という経験は日常生活でも多々あるだろう。

まして、子供は言語の発達段階。自分の感情や意図を、正確に言葉にできるほど語彙も少ないし表現力も伴っていない。それでも子供は必死に覚え立ての言葉を使って意思表示を試みるのである。だから、子供から発せられた言葉を、大人たちが使っているのと同じ解釈ですすめると確実に齟齬が起こるのである。

イヤイヤ期は、まさに子供とのコミュニケーションにおける「相手への思いやり」の訓練の開始時期なのである。





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