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子供が成長すれば、受取額を減額するという選択肢もある


では、まず死亡保障の見直しからだ。

①の「保障額」だが、これは多ければ多いほどいいわけではない。保障が手厚ければ、掛金も高くなるからだ。重要なのは「保障額が適切かどうか」。それを「必要保障額」と呼ぶのだという。

「必要保障額は、遺族の収入と支出から算出します。例えば、夫が死亡した場合で考えましょう。

支出は妻の一生の生活費、子供が成人するまでの生活費や教育費など。収入は共働きの場合は妻の給与、遺族年金、死亡退職金、貯蓄、持ち家の場合は団信(団体信用生命保険の略で、住宅ローンで家を購入する場合に加入する。死亡または所定の高度障害状態になった場合、保険金で住宅ローンを返済)による住宅ローンの返済など。

これらを計算した結果、収入で足りない分が必要保障額となり、それを超える保障は過分ということになります。場合によっては、保障を減額するという考え方もあるでしょう」と平野さん。

減額は、どの保険会社でも簡単にできる。ただし、増額は原則できず、現在の年齢による条件で不足分を新たに加入することになるので、比較的掛金が安い損保の生命保険子会社などで、別途必要額の生命保険に加入するといった方法が考えられるという。

②の「保障の形」は、あまり聞き慣れない言葉かもしれない。平野さんによると、「保険には四角の形と三角の形がある」という。



四角の形とは、保険期間中の保障額が一定の保険。30歳で死亡しても50歳で死亡しても、保障額が同じ保険はこれにあたる。

三角の形とは、保険期間が長くなるに伴って保障額が小さくなる保険。30歳で死亡したときには3000万円もらえるが、50歳で死亡したときには600万円しかもらえない保険、例えば「収入保障保険」はこれにあたる。

実は、①で計算した必要保障額は、年齢を重ねるほど少なくなっていくのが普通。大きな要因は、子供の独立までに必要な教育費や生活費の総額が減るからだ。もし、子供が小さいときに四角の形の保険に加入したが今は成長して大きくなったという人は、三角への見直しをするといいだろう。

③の「期間の見直し」は、例えば、60歳から65歳まで保障期間を延ばすケースだ。子供が誕生したタイミングで、60歳までの生命保険に入ったとしよう。60歳とは、子供が社会人となるときの自分の年齢である。自分が死んでも社会人になるまでの生活費や教育費を保険で賄う考え方だ。しかし、その5年後に2人目の子供を授かった。その場合、その子が成人するのは65歳。よって、65歳まで生命保険の期間を伸ばすことなどが考えられる。

「①から③を見直した上で、今のライフスタイルに合ったよりよい別の保険商品があれば、それに乗り替えるという選択肢も出てきます」と平野さん。保険の見直し=保険商品の見直しではなく、まずは保障の過不足を確認することから始まるのだ。



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