海の男とは、本気で海と向き合うことのできる男であり、単刀直入に言えばセイラー、つまりは“船乗り”になることではないだろうか。
セイラーになるにはライセンスを取得しなければならないが、それだけで一人前というワケでもない。予測不能の海原では、どんな状況でもしっかりと対処できるスキルが必要だ。経験も知識も豊富な先輩セイラーたちが揃っている塾やスクールに参加し、鍛えてもらうことをオススメしたい。
まずはボートライセンスを取る
ボートライセンスは、「小型船舶操縦免許証」というのが正式な呼び名。一般的には、プレジャーボートと呼ばれる、海遊び用のボートを操船するために必須の免許である。
操船するボートのサイズ、航行するエリアなどにより、4つのクラスに分けられている。クラスにもよるが、満15歳9カ月に達し、一般的な視力、聴力などの身体基準を満たせば受験できる。詳細は、各地でボート免許教室を展開しているヤマハボート免許センターで問い合わせてほしい。
免許を取得するためには、実技講習と学科講習を受講しなければいけない。実技では、出航前の船体やエンジンの点検から、始動や停止の方法、トラブルシューティングなど、ボートの取り扱いから操船までの講習を受ける。
学科講習では、国家試験で出題される科目について学習。プレジャーボートの船長としての基本ルールやマナー、海上での交通ルール、そして、ロープワーク、天候や海象など、運航するための基礎を身に付ける。
ボートの操船で多くの人が戸惑うのは自動車と違い、ブレーキが備わっていないことである。発進し、スピードを上げたあと、どのように停船させるかをしっかりと学ぶ必要がある。桟橋から離れる、着ける方法も重要である。
ボートの操船が、もっと巧みになる
マリーナ内でも、風の強い海況では、桟橋に着岸するだけでもひと苦労。小型船舶操縦免許証を取得しただけでは、まだまだセイラーとしてはビギナー。
1級、または2級のライセンスを取得できたら、操船技術を基礎からシッカリと学ぶことのできる、ボートレッスンの受講をおすすめする。経験豊富な海のインストラクターが、状況に応じた操船技術を徹底指導してくれる。もちろん、苦手な部分も克服できる。
特にビギナーが苦手意識を感じてしまうのが、着岸と離岸である。これを繰り返し行い、船体の動きや特性、操船のコツを体得。離着岸マスターという、苦手意識を克服するための集中講座もあるぞ。
免許教室で学んだ基礎的な操船技術を、より実践的な技術として身に付けることができるのが、ヤマハのシースタイル・マリン塾。ボートの動きや特性を体感し、安全な走行姿勢、同乗者の危険回避など、安全確保を実行するための技術を徹底追求している。
ビギナー向け専門書や実践的なスクールも
左●セーリングボートやパワーボートの専門誌や単行本を多く出版している、舵社のガイドブック。受講中に予習や復習を徹底すれば、合格への道も早い。勉強がはかどるDVD付きというものありがたい。
右●基礎を完璧にマスターできるおすすめの一冊。ビギナーはもちろん、経験を積んだ中級レベルのボートオーナー向け。プレジャーボートの仕組みや運用方法まで解説。
左●ヨットマンに必要な知識と技能を、合理的に短時間で身に付けることができるISPAクルーザースクール。30フィートのセーリングボートを、6日間でマスターできるようカリキュラムが組まれている。ベテランヨットマンが担当する座学では、テキストにはない経験談なども披露され、実践的な授業が行われており人気を集めている。
右●セーリングボートとはどんなボートなのか。なぜ風上に向かって走れるのか。構造からテクニックまで、詳細な解説がわかりやすい。ヨットのすべてがわかる、と言っても過言ではない!?
鈴木 勝、中村剛司(舵社)、山岸重彦(舵社)、上仲正寿、瀧 学=写真 ヤマハ発動機=写真提供