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「耐え忍ぶ」のが好きなオッサンたち。「メンタルが強い」の意味が違っている


ここからは私見ですが、おそらく我々オッサン世代の言う「メンタルの強さ」と、若者の考えるそれとの意味が異なっているのではないでしょうか。オッサン世代は、山本五十六の「男の修行」(苦しいことなどをじっとこらえてゆくのが男の修行だと言っています)とか、徳川家康の「人の一生は重荷を負て遠き道をゆくが如し」とか、とにかく「耐え忍ぶ」のが大好きです(というより、実のところは、オッサンになるにつれて「これまで耐え忍んできたオレ」を周囲に評価させるために、そういうものを尊ぶようになるのでしょう)。だから、すぐに「病気」だと言ってしまうことで、自分にかかるいろいろな負荷を減らしてもらおうとする態度を「メンタルが弱い」と言っているのです。

そのため、実際には、人口比で考えると特に大差の無い20代と40代の「うつ病」罹患者数が、「若手はあまり躊躇せずにうつ病であると言う」「オッサンは我慢してなかなかうつ病であると言い出さない」ということから、表面的には、若者のほうがすぐうつになる、メンタルが弱い、となっているのではないでしょうか。

 

オッサンの「やせ我慢」よりも、若者の「弱音を吐く勇気」がありがたい


しかし、若者からすれば、オッサン達のそういう態度は単に「やせ我慢」であり、強いことでもなんでもない。むしろ、コンディションが悪い状態のまま、無理して仕事をしても良いパフォーマンスは出ず、最終的には周囲に迷惑をかけることになる。それを、自分の小さなプライドを維持するために、どうしても我慢できなくなるまで、周囲に何も言わずに自分の中だけにとどめておくようなスタンスこそ、勇気のなさ、メンタルの弱さと考えている……と言ったら言い過ぎでしょうか。

近年のベストセラー『嫌われる勇気』ではありませんが、若者は「弱音を吐く勇気」を持っているとも言えるかもしれません。実際、マネジメントをしていて、うつ病を発症しているにも関わらず、ずっと黙って我慢してしまわれると、管理者や経営者側からみれば困ります。社員の健康に対する責任もありますし、ある日突然耐えられなくなって急に休まれるのも大変です。そう考えれば、若者のように、すぐに体調不良を言ってくれるほうがありがたいです。



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