初心者が投資するなら、まずは「投資信託」から
では、マネーRPGのレベルが低い初心者には投資は無理なのか。「諦めなくても大丈夫です」とカンさんがオススメしてくれた戦い方が「投資信託」の活用だ。
投資信託とは、さまざまな種類の株式、債券、不動産などを組み入れた金融商品のこと。証券会社や銀行で購入でき、運用はファンドの運用会社にお任せしたうえで、投資信託に組み込まれた株式や債券の配当や利子、または銘柄の値上がり益がファンドの利益の源泉となる。
運用会社のファンドマネージャーが運用するので、財務状況や将来性などを自分で調べる必要がなく、資産運用のハードルが低いことがメリットだ。また、売買の時間も手間もかからず、詳しい知識も必要としない。まさに初心者に打ってつけだが、それ以上の理由をマネー賢者が教えてくれた。
「投資で安定的に利益を上げるために必要な条件は、①分散投資、②低コスト、③積立、④長期投資です。投資信託を賢く選べば、投資に必要な4つの要素を併せ持ちます」とカンさん。まさに、マネーRPGにおける最強の武器といったところだ。では、ひとつずつその強みを紹介しておこう。
初心者が選ぶべき「投資信託」、4つの強み
① 分散投資分散投資とは投資の基本で、簡単に言えばリスクヘッジだ。実は、金融商品には典型的な動きが存在する。株が上がると国債や金の値段は下がるというのは、その一例。投資信託の場合、いろいろな株式や債券、不動産などを組み合わせたバランス型という商品も存在しており、互いの値動きを打ち消し合って、リスクを分散させることも可能だ。
② 低コスト投資信託は株に比べると購入単価が低いというメリットを持つ。株は10万円前後からの購入が多いが、投資信託なら100円から積立が可能で、1000円、1万円単位と自分の経済状況に合わせることができる。
また、投資信託には、買うときに販売会社に支払う「購入手数料」や投資信託を管理・運用してもらうための「信託報酬」などがかかる。株では「売買委託手数料」が発生するが、「信託報酬」が発生するのは投資信託のみ。このことから、「投資信託=割高」という認識も持たれるが、日経平均株価やダウ平均といった指数に連動するインデックス型の商品では年0.4%未満の低コストとすることも可能。最近は購入手数料が無料の「ノーロード型ファンド」も増えている。
もう少し上級者になれば、投資信託の一種である、ETF(上場投資信託)を視野に入れてもいいだろう。ETFは株と同じように取引が出来る投資信託。購入にかかる金額は数万円前後だが、信託報酬などは投資信託よりも安く設定されている場合がある。
③ 積立積立は、月に一度、一定金額分を購入する投資手法のことだ。相場が下がっているときには口数がたくさん買えて、上がっているときには少ししか買えない。つまり、極端に高い値段で購入し、大きな損失が出るリスクを抑えてくれるわけだ。
④ 長期投資こちらは最も重要なので、マネー賢者からお言葉を頂こう。
「なぜ投資を行い、資産運用をするのか。それは、ステップ1でも話したように、ライフイベントを見据えて、後で使うお金を作るため。今使うお金なら短期売買で利益を得る必要がありますが、将来使うお金を作るためなら、短期売買をせずに長期で運用したほうがお得です」(カンさん)。
実は、投資期間は長くなるにつれて、平均収益率は安定していく傾向にあるという。
「長期投資で投資信託を購入するときに注意したいのは分配金の存在。分配金が高額で頻繁に出るとうれしく感じますが、その分、運用する投資信託の元本が減ります。結果として、投資効率は悪くなる。選ぶなら分配金がなかったり、受け取った分配金を自動で投資してくれる分配金再投資コースがあったりする投資信託を選ぶといいでしょう。利益が元本に乗ると運用する金額が増えるので、得られる利益も増えていく。これを複利効果といいます。長期投資のメリットのひとつですね」。
カンさんが初心者の第一選択として教えてくれた「投資信託」。もちろんこの枠組みの中でも、商品はピンキリだしなんと6000銘柄以上も存在する。しかし、そんな膨大な数のなかでも、4つの強みを指標にしつつ、最大限に生かすことを目指せば、誤った選択はしにくくなるはずだ。
さて、心強い武器の存在を知り、またマネーRPGにおけるレベルが上がったが、次回ミッション4はこの奥義をさらに効率的に活かす方法を紹介する。「お金に働いてもらいつつ、さらに得する」そんな仕組みに関するお話だ。乞うご期待。
【今回のマネー賢者】カン・チュンド晋陽FPオフィス代表。資産運用に特化したコンサルティングを手がける。自所セミナー回数は200回を超え、東京証券取引所、野村證券、松井証券、SBI証券など多数の講演実績を持つ。日本経済新聞、週刊ダイヤモンドなどへのメディア出演も多数。著書に「毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術」(明日香出版社)など。 コージー林田=取材・文