――人物に関しては、CGで動きをつくったりしているんですか? 安彦:やってないですね。ピアノの弾き語りとか、バンドの連中の動きとか全部、西村さんの手作業なの。感動的ですよ。
西村:CGでも動くことは動きますが、説得力のある映像にはならないですね。CGでピアノ弾いてると思わせるのは難しいですよ。
鈴木:最終的な微調整は手でやらないといけないので。
西村:逆に作画のほうが、ごまかしがきく。
安彦:モデルに生演奏してもらった映像をモニターで見ながら西村さん、紙で描くんだよね。大変です、ストップウォッチで計りながら。あれ、モーションキャプチャーじゃないって見る人が見ればわかるよね。
アニメーターは、つい動かしすぎてしまう
――キャラクターが身ぶり手ぶりをしながら会話しますが、こういう動きは安彦さんが「こういうふうに動け」って指定をするんですか?
安彦:原画の人にほぼ任せています。そういうのが得意な人もいるので。このシーンは誰が描く、と西村さんが振る。非常に適切に割り振られてる。
西村:でも、動かしてもいいんだって思うと、アニメーターって、つい動かしすぎちゃうんですよね。ここまでやらなくてもいいんじゃないかと思うくらい。
ことぶき:キャラクターがずっと動き続けると、動く枚数だけ細かい装飾も全部描かないといけないっていうのが、作画的には大変ですね。
――ことぶきさんがデザインした中で、いちばんお気に入りのキャラクターは? ことぶき:リノ・フェルナンデスという、シャアの正体に気づく役どころのキャラクターです。漫画にはいない設定で、オリジナルとして描き起こさせてもらったので、思い入れがありますね。第3話はガルマとシャアの物語ですが、そこにリノという新しいキャラクターがあいだを割って入るような感じだったので。ガルマとシャアに負けない第3のキャラクターとして成り立つなるように努力しました。
安彦:リノね、これ俺が描いたんじゃないの? と思った(笑)。ことぶきさんの絵は、なんか遠い親戚のような気がする。リノの芝居もなかなかいい味出してた。アニメーターにはキャラクターに芝居をさせることをもっと面白い、楽しいと思ってほしいなと、ずっと思ってるんですが、そう思ってくれるアニメーターが少ない。6本やってね、「あっ、この人、芝居うまくなったな」っていう人もいるんです。そういうのはうれしいね。
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