――安彦さんのキャラクターデザインと、ことぶきさんのキャラクターデザイン、何か役割分担とかあるんですか? 安彦:一応メインとサブみたいな。でもメインキャラもことぶきさんにずいぶん振っちゃったので。僕自身が「ちょっとこれは手放したくないな」みたいなのが残っただけで。キャラクターの8割ぐらいはことぶきさんが描いてるんじゃないかな。
ことぶき:そこまでは多くないと思いますが、セリフのないキャラクターも含めると、それぐらいになるんですかね。
安彦:ことぶきさんが描くと、特に女性がすらっとした美人になるんですよ。でもそれではスマートすぎるんで(笑)。「メインを俺がやるよ」という、それが最初の分業だね。
ことぶき:そうですね。あとザビ家は思い入れがあるということで、安彦さんが仕切られた。
――安彦さんの絵柄をみなさんちゃんと描けるんですか。 西村:なかなか描けないですね。自分も一応、総作画監督やってますけど、そんなに似ないですよ。原画マンが描いて、それに修正入れて上がってきたものを、さらに修正入れて、なんとか似る。少しずつ微調整して寄せていかないと、一発でその絵にはならない。
CGは彫刻みたいに彫りこんでいく
――モビルスーツのアクションはCGでつくられてるんですよね。特に大変なところは?
鈴木:モビルスーツのCGモデルはプラモデルを前提としてつくっているデザインなので、安彦さんの絵とプロポーションがだいぶ違います。それを漫画の雰囲気に合わせるにはどういうポーズにしたらいいのか、メカニカル総作画監督として結構悩みました。まあ、その中間を取れればなという感じでポージングさせてます。
ことぶき:メカとロボットって、ちょっと違いますもんね。飛行機とか戦艦みたいな動かないものを描くメカと、動くロボットでは同じ金属質なものでも、扱い方が変わる。
――ちなみにモビルスーツというのは、メカとロボどっちに? ことぶき:ロボット。もうキャラクターですよ。
――ハリウッドのCGアクション映画とは、全然違う難しさがあるんですか? 鈴木:まず期間もおカネも違うわけで。(一同笑)
安彦:アニメーターは頭の中でイメージして表現するんですよ。逆に、CGは彫刻みたいに彫りこんでいく。ものすごい大ざっぱなところからだんだんディテールを彫りこんでいって、スムーズな細やかな動きになる。その都度見て微調整していくんですよね。アニメーターは頭の中で最初にもうつくっちゃう。まったく正反対なの。
鈴木:あとCGオペレーターも絵を描けないとダメなんじゃないかな。ピクサーのCGの人は、手描きでサラサラって描いちゃって、それに合わせて自分でCGでやってたりする。
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