3月にジュネーブとニューヨークで開催されたモーターショー。そこに登場したモデルから見えてきたのは、これからのクルマと社会のあり方だ。
今回は、自動運転や安全性などにも直結する、各メーカーの開発競争が激化しつつある「AI技術」を搭載したクルマを取り上げる。
AI技術を駆使した新時代のコンパクトカー
ホンダ アーバンEVコンセプト
これからのホンダのクルマ造りの方向性を示すコンセプトモデル。ドライバーのライフスタイルや好みを学習するAI技術と新型のEVプラットフォームが組み合わされる。車両のフロントとリアには車外へのメッセージが表示できるディスプレイを備える。
完全な自動運転を目指した夢のクルマ
フォルクスワーゲン I.D.ヴィジョン
フォルクスワーゲンが未来のクルマとして提案している「I.D.シリーズ」のフラッグシップとなるサルーンモデルは、ドライバーも必要としない、完全自動運転(=自動運転レベル5)を目指して開発されている。電気モーターを搭載し、航続可能距離は665㎞となる。
Sクラスと同等の最新技術を装備
メルセデス・ベンツ Aクラス
スマホのように「ヘイ、メルセデス」と呼びかけると起動し、クルマと対話をすることでインフォテインメントや快適装備の操作が可能となるAI技術「MBUX」を搭載。また、アクティブクルーズコントロールなど、Sクラスと同等の運転支援システムが装備される。
現在、最高レベルの自動運転技術
アウディ A6
市販車では世界初となったA8に搭載された「レベル3」の自動運転技術。それが新型A6にも装備。レベル3以上になると、自動運転モードでは運転操作の責任は人ではなくクルマに課せられ、この技術には高性能なAIが必須となる。60km/h以下や高速道路限定など条件がつき、法整備の問題は残っているが、日本での発売も強く期待したい!
運転教習まで受けられるクルマ
三菱 e-エボリューション コンセプト
運転補助に重点を置いたAI技術を発表したのは三菱。ドライバーの意思を的確に読み取り、運転技術に関係なく、安全で快適なドライビングをサポートしてくれる。さらにAIによる運転技術教習が受けられるコーチング機能まで搭載。新しい可能性を感じさせるアプローチだ。
カーシェアリングを前提にした新しい形
ルノー EZ-GO
都市部におけるカーシェアリングでの使用を想定して生まれたコンセプトモデル。リアハッチが大きく開き、車椅子やベビーカーをそのまま載せられるデザインで、AIを使ってレベル4の自動運転に対応するというコンセプト。こんなクルマならカーシェアの普及は加速するはず!
今後はもっと増える!? 続々登場中の“EV専門”ブランド!
テスラに続けとEV専門ブランドが続々と誕生。これらは、2020〜’30年にかけて、ゼロ・エミッション車の比率を増やすための取り組みで、各社の本気っぷりがうかがえる。
メルセデス・ベンツがEV専門ブランド「EQ」を新設
EQ C
ジュネーブで初お披露目となったメルセデス・ベンツのEVブランドEQ。その最初の市販モデルがSUVのEQ Cだ。フル充電の状態では航続距離は500㎞となり、また急速充電器を使用すれば、5分で100㎞もの走行が可能となる。電気自動車専用のプラットフォームを採用し、2019年に生産開始予定となっている。
ポルシェのEV「ミッション E」の新コンセプト車
ミッションE クロス ツーリスモ
各メーカーの参入合戦が予想されるエレクトリックSUVに、ポルシェがスポーツ性能を高めたモデルを投入する。クロスオーバータイプとし、最高出力600PS、0→100㎞ / h加速は3.5秒未満と、スポーツカーと同水準のスペックが発表された。発売時期などはまだ未定。
ボルボから独立! ポールスターが新ブランドとしてスタート
ポールスター1
ボルボのパフォーマンス部門から独立し、新しくEVブランドとして誕生したポールスター。その第1弾は補助的な後席を備えた2+2シーターのPHVクーペ、ポールスター1。その後発売されるセダンのポールスター2、SUVのポールスター3はEVとなる予定だ。ボルボデザインは踏襲しつつ、各機構はポールスターが独自に設計、生産を行う。
すでに、前車追随機能や車線逸脱防止システムといったAI機能に近い自動運転アシスト機能が搭載されているクルマは多い。そして今回発表された、各メーカーのこれからのクルマ造りの方向性を示すコンセプトカーや直近で発売される新型車のほとんどがAIやEVを搭載したモデルだった。となれば、昔映画で見たような「喋るクルマ」「意思を持つクルマ」の登場も、もう遠い未来のことではないかもしれない。
佐藤靖彦=写真