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2022.03.27

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ポートランド発のサーフボードを作る理由「海が変われば理想の板も変わるから」



当記事は「SUiTE」の提供記事です。元記事はこちら
サーフボードのメーカー「ブラックファーン」を運営するシェイパーのマイク・ホールさんはパシフィック・ノースウエストの波に相応しいボードを作る。

こだわり派の顧客に指示されるそのワケとは。ポートランドの魅力を伝えるシーズナルメディア『SUiTE』より紹介。

マイク・ホールさんは、雪のように真っ白な、厚みのあるフォームの板に手を加えていく。素人の目には、ほぼ何もしていないように映るかもしれない。ところが、フォームは既にサーフボードの特徴的な形になっている。

とはいえ、エッジの部分はギザギザで真ん中は厚く、表面はざらついている。そこへ、彫刻家が物影から大理石を取り出すように、ホールさんは絵を描き、彫り、サンドペーパーをかけ始める。彼の手や店の床は、しだいに白い粉で覆われていく。


ブラックファーンを立ち上げた、サーフボードシェイパーのマイク・ホールさんは、冬の大きな波に乗るお客さんとの会話を楽しむ。彼に求められているのは、このようなコンディションを乗り切るのに必要な性質を思い浮かべることだ。
ほかのシェイパーなら、フォームをさらに磨いてサメのヒレのように薄くするかもしれない。しかし、ホールさんは手を止め、ボードの先端であるノーズに向かって少し厚みを残し、余分なロッカー(縦向きに反った部分)を省く。

なぜなら、大半のシェイパーが手掛けるような、カリフォルニアやハワイの波に合ったサーフボードを作っているわけではないからだ。

ポートランド郊外の自宅のガレージに「ブラックファーン」という名の会社を興した彼は、ここで太平洋岸北西部でのサーフィンにぴったりのボードを作っている。



「ここの大陸棚ってすごく長いんです」とホールさんは説明を始める。「そのせいで、波のエネルギーが奪われるんですよね。だから、パワーが全然ないわけではないんですが、ハワイや外洋の環境なんかと比べると押しが弱いんです」。



ホールさんは中学校で理科の教師も務めているからなのか、あるいはスノーボーダーとしての経験でわかるのか、ボードシェイプを始めたとき、よりフラットなボードでできるだけ前方に体重をかければ、オレゴンコーストの波でもっとうまくグライドできるだろうと直感したという。

「初めて作ったボードで、びっくりするほどうまく波に乗れたんです。それまで使っていたハワイアンボードよりも良かったんですよね」とホールさんは語る。

「まだ少し調整が必要ですが、基本的なことはすぐにできました」。



当初は、友人の家の庭先でサーフボードの商売を始めた。やがて、無臭で環境にやさしいエポキシ樹脂を導入し、理想的な作業場を確保した。

前途有望なほかのシェイパー達とは異なり、ホールさんは自動裁断機を使っていない。

「最初から最後まで、すべての工程を自分が手掛けるというのは、ある意味、珍しいですよね」と話す。「私からすると、自分が作ったものを実際にお客さんに渡さないなんて、意味がないと思うんですよ」。

ホールさんの正直なやり方は、ボードの形をオーダーメイドしたり、手作業でしかできない配色を望んだりする熱心な顧客たちから大いに支持されている。

「彼らは、背景にもう少しストーリー性があるものを欲しがっています。こんなふうにしたい、というビジョンを持っているんですよ」と語る。「私は、彼らの経験を豊かにしているんだと思っています」。

サーフボードのオーダーメイドに加え、彼は、急成長する北西部のサーフコミュニティで、ポートランドの主要なサーフショップや、パシフィックシティのモーメントサーフカンパニーを通じてブラックファーンのサーフボードを販売している。

フォームを裁断して成形し、磨き、新しいボードの完成に向けて作業をしながら、ブラックファーンのサーフボードの持ち主ふたりが、誇らしげにビーチで語り合う姿を思い浮かべるのが好きだという。

「ふたりが親友になろうとするのがいいとかそういうことではなく、地域社会との関わりを少しだけ増やし、それをもとに地域とつながりを持てるのは、素晴らしいことだと思うんです」。

ブラックファーンのサイトはこちら。
blackfernsurf.com
This article is provided by “SUiTE”. Click here for the original article.

アシュトン・モーガン=写真 トラヴィス・ハンコック=文
翻訳=神原里枝

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