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ネタこそが、さらば青春の光の“生きる道”

でも、桜木やら流川やらいますけど、いちばん感情移入しやすいのは宮城リョータですかね。

僕はサッカーをやってたんですけど、身長はチーム内でも低い方です。でも、体力にはめちゃ自信がありました。フルで試合をしてもバテませんでしたから。



宮城の「ドリブルこそチビの生きる道なんだよ!!」っていうのに重ね合わせて、とりあえずフルで動き回れるやつでいるべきだって思ってましたね。今もそう。自分は芸能界で主人公じゃないっていうのはわかっているんでね(笑)。



芸人としては、山王工業の松本稔にも共感しますね。

実は松本って、めっちゃバスケットボールがうまいんですよ。なのに、だいぶキャラ薄いじゃないですか。山王内では沢北に次ぐオールラウンダーのフォワード選手なんですけどね。だけど、ストーリーでは三井の引き立て役にされている。

僕もお笑いが好きで、めっちゃネタも頑張ってきたけど、やっぱり天才だらけの芸能界では埋もれてしまう。その報われなさはすごい共感しますね。結果、ディフェンスのスペシャリスト、一之倉よりもキャラが薄くなってますから(笑)。

芸能界でも一ノ倉みたいなキャラの強めなやつはゴロゴロいて、それしかできなくても、それでメシを食えていますからね。

それこそ宮城リョータですよ。“チビの生きる道”。俺らの生きる道はもうネタしかないですから。ネタだけはおろそかにしたらあかんというのはいまだに思っています。ほかでは負けていても、“ネタだけは絶対に”っていうね。

結局、ありきたりですけど「オンリーワンの大切さを教えてくれる漫画」なんじゃないですか、『スラムダンク』はやっぱり。

桜木にはリバウンド、宮城はドリブルしかない。それで、結果、トップレベルのオールラウンダーたちを倒してしまうという。各々の読み手の人生に重ねやすいというところはあると思います。



どこかでは劣っていても、何か一点を伸ばせば勝てるということを、『スラムダンク』は教えてくれたものかもしれないですね。マジで何かしらに特化していたらメシを食える時代なんで。

湘北はそんな集まりじゃないですか。見ていたら自然と奮い立たせられますよね。


周りを見渡せば、なんでもそつなく完璧にこなす人間もいる。しかし、何かに突出している人間はそれだけでも面白い。“自分の生きる道”を見出すことこそ、今を生きるうえでは大切なのかもしれない。

「かく語る『スラムダンク』」とは……
映画公開も控えたバスケ漫画の金字塔『スラムダンク』。作品の持つエネルギーは凄まじく、それは時に人生を左右するほどの影響力を持つ。実際に触発され、全国区へ駆け上がったオーシャンズ世代の同志はこの漫画をどう読んだのか。男たちは、かく語る。
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佐藤ゆたか=写真 菊地 亮=取材・文

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