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ほかにも2列目、3列目と後列へいくほどシートの着座位置を高くすることで、前方の景色が見えやすくしている。これは車酔いをしにくくするための工夫でもある。

シート座面の高さに注目すると、1列目より2列目のほうが高くなっていることがわかる(写真:尾形文繁)

シート座面の高さに注目すると、1列目より2列目のほうが高くなっていることがわかる(写真:尾形文繁)


また、国内量産車において「ホンダ史上最大の空間が実現された」という室内は、家の中でのリラックスした暮らしがシームレスにクルマへも続いていくような空間を追求したという。

具体的には、乗員が近づいたり離れたりすることでホッとできる距離感を生み出せるよう、2列目キャプテンシートに新たなスライド機構やオットマンを採用。このシートは、ワンアクションで前後左右に動かすことできる。全タイプのシート表皮に撥水撥油加工を施すなど、日常でのメンテナンスが重視されている点もトピックだ。

ミニバン市場に一矢報いる存在へ

先代の良し悪しを研究し、全方位で進化を遂げた新型ステップワゴン。その開発の根底にある想いは、ミニバンが「子育て家族の必須のアイテム」であるという事実だ。あくまでも主人公は家族で、「クルマは暮らしの引き立て役に徹する、という考え方だ」とホンダは強調する。

今回、コンセプトやデザインは発表されたが、詳しいスペックやパワートレインは明らかにされておらず、ティザーサイトにより最新の安全運転支援システムが搭載されることや、ガソリンエンジンに加え、ハイブリッドの「e:HEV」が設定されることなどが明示されているのみである。

SPADAの後部に装着される「e:HEV」のエンブレム(写真:尾形文繁)

SPADAの後部に装着される「e:HEV」のエンブレム(写真:尾形文繁)


奇しくも最大のライバルであり同クラスのベストセラーである、トヨタ「ノア」「ヴォクシー」のフルモデルチェンジが間近であると聞く。先代ステップワゴンは“ノアヴォク”に押され気味であったが、新型はどれだけ肉迫できるのか。あるいはアドバンテージを取れるのか。デビュー6年目を迎えた日産「セレナ」とともに、ミニバン市場はさらに活況を呈しそうだ。

なお、1月14日から1月16日に千葉県・幕張メッセで開催される「東京オートサロン2022」でも、新型「ステップワゴン」のプロトタイプと、新型ステップワゴンをベースにしたカスタムモデル「ステップワゴンe:HEVスパーダ・コンセプト」が展示される予定となっている。オートサロンでの新たな情報公開に期待したいところだ。



先川 知香:モータージャーナリスト
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記事提供:東洋経済ONLINE

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